宇宙戦艦ヤマト復活編をみているうちに、日本のソフトウェア技術力の未来がとても心配になってきた件について
皆様新年あけましておめでとうございます。
本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
年初ということで、ビジネスネタに当分昨年末から当年初にかけてのプライベートネタから発したテーマが適宜織り交ざっていきますが、何卒ご容赦ください。
そこそこデカイTVを仮に自宅に持っていたところで、ドルビー・サラウンドで立体感ある大画面投影の仕組みにかなうわけがないという主義でして、この年末は昨年投稿した「ライダー」銀幕版に加え、ウルトラマンやヤマト復活編をみたりしておりました。
(ウルトラマンは後日投稿しますのでご興味ある方はそちらをごらんください。)
年初最初の投稿に、なぜヤマトなのよ?と皆様の多くが疑問を持たれるかも知れませんが、私はこれらの映画をみているうちに、特にこのヤマト復活編には、個人的な予測ながら、日本のソフトウェア産業、そして技術の将来について、とってもとっても不安を覚えたのです。
まったく排除もできないのだろうとは思いますが、決して否定的批評をするつもりではなくて、私の世代ですと、まったくもって懐かしいあのヤマトが復刻することには素直に感激し大いに期待して劇場へいきましたが、ただ・・・その出来栄えと期待とのあまりのGAPにきつい苦しみも覚え(苦笑)。
そりゃあね、昔に比べればすごいアニメーション技術の進歩だとは思います。でもね。なんかあと一歩「品質が感じられない」のです・・・自分が大人になっただけかも知れないが
後半でも同様のことを繰り返しますが、端的に言えば、
こんな品質のものをお客に提供していては、とてもグローバルで競争できるソフトウェア(アニメーション・ムービー限定とはいえます)技術とはいえないのではないかと。
日本の将来暗いぞ?・・・いやいや、きっとこれは・・・きっとこれはたまたまこの映画がそうだから局所的にそういうイメージを増長しただけ・・・と、私は信じてやみませんが(涙)。
というわけで、以降は、実はヤマトファン(正確には+銀英ファン)の愚痴を含むネタバレが含まれますので、お嫌いな方はここでタブをクローズくださいませ。m(_ _)m
ふー、今回はこのくらいで許してください(笑)。
要するに、この映画は、一言で言えば、「西崎ワールド」です。その意味ではかなり集大成と言えます、良くも悪くも。
松本先生と西崎氏がいろいろもめたことは記憶されている方も多いのではと思います。なので松本先生はまったく本作品に絡んでない(と思われます)。ですから完全に西崎氏の手腕で、且つ(なぜか)石原慎太郎原作に基づき(?)、かなり強烈なバイアスで製作されているように見えます。
最後に流れるロールも、キャスト&スタッフの個人名テロップの大きさも、西崎氏(一門)だけがとってもデッカイ(苦笑)。もうなんか神様扱いな感じです。「西崎グループ、復活したぞーっ。みんな注目するのじゃー!」って感じです(爆)。
実際、作品を見終わって感じましたが、彼の個人的な思いはふんだんに、そして十分に反映されているんだろうなと。松本先生加わっていたらこんななんないだろってところも満載、良くも悪くもベクトルははっきりしております。
それで、別に批判をしたいわけではなくので、ここで1つきちんと申し上げておきます。
これ、ヤマトと思って見なければ、つまりまったく新しい作品と思ってみれば、例え旧来のヤマトファンであっても、決して落胆はないと思います。
・・・そう、新しい作品だけれども、ヤマト・テイスト×銀英・フレーバーを平方根したみたいな感じかな、
と思えば、別に大きな感動もないんですけど(涙)、いろいろ衝撃というか、非常に感心する部分も多いので。(笑)
それから、オープニング含め2,3回出てくるんですが、
あの有名なスキャットは代わり映えなく、健在です。もう、これはもう、ただただ感動ですなあ(涙)。
私は劇場でこれがほぼ完璧な原曲で聴けて、これだけに対しては金を払う価値がありました。総合すると払いすぎな感がないわけでもないけど(爆)、これは私にとっては本当に昔の感動を思い出しまして、もうウルウルです。
ヴィジュアルですが、戦艦のデザインは結構カッコいいのが多いし、大画面ですから迫力満点。なかなか騒々しいのですが、やっぱり宇宙戦争モノということで、この臨場感は素晴らしいの一言。なんか言葉もなくただただ基本技術の進歩や、六連装波動砲以外は変わり映えないヤマトの晴れ姿には感激します。
ただちょっぴり東宝・東北新社ということで、昔のアンドロメダや汎用型戦艦みたいなのが出てきたり、敵はたぶん銀英やエヴァンゲリオン?を参考としているっぽいです。曲もそうだが一部キャラは銀英とみまちがう気もしました(笑)。
また、真田さんを代表例に、松本先生がいないからか、
主要キャラが原作とかなり似てない(爆)。
それに映像技術として診ると、戦闘シーン以外は、脇役ビジュアルは特に手抜きを感じました。
スポットライトがあたっているキャラ以外の「動かないキャラや背景は、かなり雑」な印象です。予算の関係もあるんだろうし、他のアニメもそうなのかも知れないし、そもそも昔のアニメなんて個人的にはドカベンが代表例なんですが、かなりアニメーション品質は手抜きでしたから。なんとなくこれは許容してあげるしかないんだろうなあと思って観てました。
それと、地球からの移民先であるアムール星は中東っぽいデザインで、戦争アニメのくせに社会風刺を感じるシーンでしたが、これは正直余計な工夫ではないかという気はしました(もっとも、大人はそう思うのであって、子供たちには伝わらない話かも知れません)。
少し繰り返しになりますが、ヤマト本体やコスモ系は、原作の踏襲は個人的には素晴らしいと思います。これはお父さん大感激(笑)。一通りの原作シリーズが終了したのち、新作の企画が立ち上がりHPでちらちら確認した過去があるんですが、あまりに見栄えの変わったヤマトに失望したファンは多かっただろうと思います。そして企画は立ち消えとなり、そして今回、「見事に元通り」となりました!
波動砲も肝心の発射音が違いしかもうるさいのが個人的には残念でしたが、エネルギー充填音はそのままだったのでそこはワクワクしたんですが・・・
ただ、・・・ただですねえ。別の点では、 バランスが悪かったですね。
個人的には、「ビジュアル」「音響」「ストーリー」がちゃんとバランスとれてないとやっぱ、こういうソフトウェアはダメなんだと思います。ビジュアルの基本技術がいくら進歩したところで・・・
予算や納期の問題なのか、クラシックが多用され、しかも音量がうるさく選曲がミスマッチな部分も多く、せっかくの戦闘シーンの迫力やストーリーの芯を削いでいました。
主題歌も、ALFEEは原曲に無理やり合わせた感が強くかわいそうでした。ALFEEは嫌いじゃないですが、単に、せっかくスキャットや一部の交響曲がそのままになっててヤマト本体も原型なので、ということでかなり無理な設定で作曲(編曲)したのではないかと思いました。
昔、「デスラーの出ないヤマトなんて」とつぶやいたこともありますが、やはりデスラーがよかったなあ(涙)。でも伊武さんの声は健在で、しかも彼の配役は中盤では主役っぽくてヤマトを食っちゃってましたね(笑)。でも、これはこれでファンとしてはまったく問題なし。
2時間以上にわたる対策なんで、ストーリーは正直後半はダレてしまいました。なかなかの出来だったと思いますが、お決まりの「周囲の戦艦が全滅したあとヤマト1隻で敵を全滅し返し」たり、「倒したと思ったらさらに強大な敵の巨大戦艦登場」みたいなところは相変わらずでしたが、今回ちょっと違うのが、
ヤマトのくせになかなか火を噴かないのです。超頑丈(爆)
なので、まわりはばったばったやられていくのと対照的に、ヤマトは最後の最後までほとんど壊れることなくストーリーが進んでいきます。最近はあまり殺し合いを派手に描写しない時代なので配慮もしたんでしょうが、この違和感にちょっと興ざめした人も多いでしょうね。
というわけで、旧作の崇拝者がみるにはかなり覚悟や勇気がいる映画です。
松本先生が組まないなら第二部(続編)はやらない方が傷口を拡げないでしょうね・・・
私はかなり始めの方から、「これは旧作とは異なる別物、まったく新しい作品としてみよう」と頭を切り替えて鑑賞しましたので、比較的楽しめました。満足度が高いかといわれると正直「?」なんですが(苦笑)、でも戦闘シーンに迫力はあるし戦艦のデザインも総じて素晴らしいかと。
それに、あのスキャットだけは、ただただ感動ですからなあ(爆)。
あ・・・だらだら書いてしまいました。すみません(お読みいただいた方々、深謝デス)
とにかく、
私は思いました。西崎氏のファンの方には大変申し訳ないですが、今回の作品は素晴らしい要素も含まれていただけに、そうでない部分をもう少し練ってから世の中に出すべきではなかったかと・・・
実写版が今年ありますので、それに先行させる意味合いはあったのでしょうが、私のような旧作世代の単なるノスタルジーを満たすだけの作品ではないようにしていただきたいなと。
私は元プログラマとして、たいした功績はないですが、でもやっぱり日本のアニメーション技術は世界最高であってほしいし、日本のアニメ映画のブランドも世界を席巻するものであってほしい。
なのに、「こんなレベルで公開」してしまうなんて、製作者側よりも「その判断」をした側のビジネスセンスに悲しくなりました。
そんな日本を変えるために、少しでも頑張ろう。それが今の私のモチベーションです(泣)。