「支援」を「押し売り」しないように
プロジェクト支援ビジネスにおける大原則論の1つに、表題のキーワードがあると思っております。
プロジェクトマネジメントでもエンジニアリングでも、お客様の取り組みを「支援」するビジネスにおいて、支援の必要性を説明し、納得を得ることは重要です。
支援がなければプロジェクトが失敗するリスクアラートを、自分が痛切に感じている場合は特に、当然力も入ります。
「こんなこと、あんなこと、必ずやらなければならないはずですが、誰にそれをやる余裕があるのでしょうか」
「期限や品質を守るためには、例えば私(我々)のような要求された高いスキルある人間が不可欠。我々に是非支援させていただきたい」
「もし支援しなかったら失敗するかも知れません。我々がいたらそれを最大限リスクヘッジできる」
言葉自体は、問題なく説得性ある風に聞こえなくもないです。
しかし、私の経験に基づくビジネス理論で言わせていただきますと、
「失敗するリスクを最小化するために私を買え/私に支援させてくれ」
と言うのは、どうも「不謹慎」な気がして仕方がありません。
「我々がいないと必ず失敗しますよ」と予言しているわけでもないです。
が・・・どうも、我々がそのプロジェクトの本質的オーナーでもないのに、プロジェクトを支援する立場で積極的に「売り込む」行為自体に疑問を感じてしまうのです。
「このままではまずいことになる」
「それを回避するために、具体的にこんなことあんなことをいついつまでにやる必要がある」
「それを担当する人材が貴方方の中には残念ながらいないようだ」
「我々ならそれができる」
「だから我々にそれを支援させてください」
ストーリーはこんな感じです。
これを説得性ある具体性を持って説明できるのであれば、根気よく丁寧に力説することは、とてもいいと思います。
ただし、
意思決定は、あくまで「支援依頼を行う」お客様自らが、行うのです。
意思決定ロジックに口添えしたり、意思決定プロセスに介入したりすることは、原則してはいけません。
ましてや、支援依頼は不要との判断に対して、「意思決定に異を唱えてはなりません」。
お金を払ってでも支援を頼もうと、意思決定するのはお客様の意志なのです。
「支援しなかったらきっとお客様は困ってしまうはずだ」
そう確信があったとしても、
「支援が必要なはずです。どうか支援依頼をすると意思決定してください。」・・・意思決定してもらうために、支援の必要性を手抜きせずに頑張って説明し続けるのだとしても、
支援は不要と思っているお客様に、理屈抜きに押し売りをしてはいけません。
我々は、魔除け厄除けの御札ではありません。
どんなに説得しても納得してくれず、支援不要と意思決定し、「表明した」お客様には、基本的には、もうそれ以上支援ビジネスの営業をしてはなりません。
確かに、もどかしいですが、・・・そう、やるせない気になるとも思いますが、そこはじっとこらえて、感情に訴えずに具体的な説得材料を根気よく探して行きましょう。それでも諦めきれないときは・・・
活字にしてみると、意外にファジーな議論に自分でも思えてきました・・・(汗)が、とにかく、心底お客様が納得して、「お願いします!」と依頼されてはじめて、支援ビジネスに我々がDedicate(献身)できるという点は、よく意識していただきたいと思います。