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ITに強いビジネスライターとして、企業システムの開発・運用に関する記事や、ITベンダーの導入事例・顧客向けコラム等を多数書いてきた筆者が、仕事を通じて得た知見をシェアいたします。

昔はなんであんなにいろんなことに腹が立っていたんだろう(#133)

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目の前の人をかけがえのない人だと思うだけで運は向いてくる。

●解説

私は以前、とても怒りっぽい性格でした。瞬間湯沸かし器と言ってもよかった。

上司には方針がよく分からないと怒り、部下にはもっと自分で考えろと怒り、他部門にはもっと会社全体のことを考えろと怒り、顧客には理不尽だと怒り、妻にはお前は俺を尊敬していないと怒り、という感じでした。

子供がいなくて良かった。すっかり不良になっていたに違いありません。

このような人間の当然の帰結は、孤独です。私は孤独になり、職場を変わり、そこでも孤独を味わって独立し、やはり孤独になりました。

問題意識があるのは大事なのです。私の怒りの多くも問題意識から発したものでした。

この点をもって、怒りのない人間はダメだという言い方をする人もいます。

ハリウッド映画の主人公が発する正義の怒りをかっこいいと思う人も多いでしょう。

しかし、現実は、善玉と悪玉がハッキリしているようなことはほとんどありません。

私が方針がよく分からないと責めた上司だって、悪玉かと言われると、家庭を持ち、当然ながら私より長く仕事を経験してきていて、休日は家族サービスか好きなゴルフをやっている普通の人です。

そう考えると怒る気も失せるように思います。

私はあるとき、カーネギーの『人を動かす』を読んでいました。

人間は自分を重要だと認めてくれることを切望しており、そしてそれはなかなか叶わない。だから目の前の人に「あなたは重要ですよ」というメッセージを伝えれば、必ず人は動く。

そのようなことが書いてありました。

それ以来、できる限り目の前の人をかけがえのない人だと思うことにしました。

それだけで、ちょっとやそっとのことでは腹が立たなくなりました。相手のいうことに動揺することもなくなりました。

セルフイメージが上がると人のいうことに動揺しなくなりますが、逆の順序で自信ができてきました。

そうなると本当に不思議ですね。次々と仕事の依頼が来るようになったのです。

試してみて失うものは何もありません。

●裏解説

怒りを露にする人は、周りから見ると、やっぱり怖いです。近寄りたくないなあという感じです。

ただ、それだけが孤独になってしまう原因ではないようです。

私自身を振り返ってみると、怒りっぽかったのは、自信がなかったからでした。

まず、パフォーマンスとして怒っていました。これは人に認められたいからでした。

そして、自分が認められないとまた怒る。

目の前の相手に対して優位性を示したくて怒っていたこともありました。まさしく自信のなさの表れです。

自分を認めて欲しくて、怒っていたわけです。

北風と太陽のたとえの通り、このような戦略はうまくいきません。

怒れば怒るほど認められず、私はどんどん孤立し、ますます自信を失っていきました。

自分を認めて欲しければ、まず最低限、相手がその人なりのかけがえのない人生を送ってきたことを想像するぐらいのことをすべきです。

想像することで、怒りは消えていくことでしょう。

問題意識から出た怒りだというなら、これこそが、相手の協力を得ながら、真の問題解決をするための第一歩です。

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