自分軸で結婚も?
333営業塾塾長の吉見範一さんは、東京の西の方にある山田歯科医院(仮称)のコンサルをやっています。
山田歯科医院は70年続く伝統ある歯科医院ですが、山田先生が吉見さんに相談しに来たときには、週の何日かは患者が来ない日があるような厳しい状況でした。
まず駅から遠い。また、建物を含めた設備が古い。その設備を新しくする資金もない。
駅前には最新設備で横文字メニューの歯科医が10軒以上立ち並び、受付も吉見さんがこっちのコンサルのほうが良かったと思うぐらいの美人ぞろい(笑)。若い女性を中心ににぎわっていました。
ないないづくしの山田歯科は、吉見さんの助力もあって、現在は盛り返しています。
その裏には、自分軸によるマーケットのセグメンテーションがあったのでした。
●土俵を変えて、勝てる市場を見つける
今回は、図を中心に見ていただきましょう。クリックすると拡大表示されますが、読み込むよりも文字の密度に注目してください。
▲図1 ビフォー
図1は、自分軸ができる前の山田歯科のマーケットのイメージです。
山田歯科独自のマーケットがないため、駅前に立ち並ぶ歯科医院とまともに戦ってしまっています。
そうなるとウリがないため、ジリ貧になっているというのが、当時の山田歯科の状況だったわけです。
文字を読むまでもなく、文字数だけ見ても、いかにも患者がこない医院という感じが伝わってきますよね?
図2は、山田歯科医院の自分軸です。
山田歯科は、入れ歯治療が得意で、その場で入れ歯を作ったり、直したりすることができます。また、自宅が診療所で家族で経営しているので固定費が小さい。そして元々高齢の患者が多い。
となると、駅前に乱立する明らかに「保険のきかない」「審美治療」を主に可処分所得のある「働く女性」に提供して稼いでいる歯科とは、マーケットが違うわけです。
ここまで分かれば、マーケットの違いを明確に表現すればよいだけです。
言語化すれば、「保険治療」で(固定費が小さいので問題ない)「高齢者」向けの「入れ歯」治療専門というマーケットとなります。
また、そのような治療を専門にやる理由もあります。
それは、入れ歯治療が得意で、この土地で70年やってきたということ。ここから「地域密着」「恩返し」などのキーワードが出てきます。
▲図3 アフター
自分軸が明確になると、マーケットの定義がまったく変わります。
図3が自分軸発見後の山田歯科のマーケットです。文字の密度だけを見ていても、患者が来そうな歯科医院となっています。
自分軸だけで、これだけ変わってしまうのですね。
●結婚もできた!
山田先生は三代目でまだ30代です。
吉見さんのところに相談しにきたときは、とても結婚できる状況ではありませんでした。
経済的な理由もあったでしょう。医院存亡の危機に結婚なんて、という。
しかし、それだけではないと思います。
というのは、その後医院を盛り返してから、無事結婚されたのですが、奥様を見る限り、お金目当てで結婚したという感じの方ではなかったからです。
自分軸ができたことによる自信――これが女性を惹きつけたのではないかと、ぼくは思っています。
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