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女優の榊原るみさんが「監督の監督」をした映画『二つの祖国で』

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『二つの祖国で 日系陸軍情報局』という映画の試写を見てきました。
私のロサンゼルス在住時代の仕事仲間で、映画監督のすずきじゅんいちさんが監督した
日系史三部作の最終作となるドキュメンタリー映画です。

第二次世界大戦時のアメリカの日系人部隊としては442部隊が有名ですが、
それとは別に、MIS(ミリタリーインテリジェンスサービス)と呼ばれる
陸軍の秘密情報機関があったそうです。
秘密情報機関という性格上、国家機密として長い間極秘扱いだったとのこと。

米国の国籍を持ちながら、戦争が始まったことで差別を受け、
その後、父母の祖国である日本と戦う運命を受け入れ、
米国に忠誠を誓って日系陸軍情報部に入り、
諜報活動、捕虜の尋問、降伏の呼びかけなどで米国の勝利に貢献し、
戦後は日米の架け橋として日本復興に尽力したという
日系二世の元兵士たちのインタビュー証言を中心に、
当時の写真や戦争の映像を交えながら、戦争の悲劇を描いた作品です。

とても重い内容ですが、
国家や戦争、民族、文化といったものについて考える上でいい材料になるので、
ぜひ多くの人に見てほしい映画です。

今年の東京国際映画祭の公式出品作品となり、
12月8日から新宿K's cinema、銀座テアトルシネマ、銀座シネパトスほかで
順次ロードショー公開されるそうです。

試写会でもらったパンフレットに、すずき監督の奥様で女優の
榊原るみさんによる「監督紹介」のコメントが載っていました。
るみさんの肩書きが「監督の監督」となっていたのが面白かったのですが
そのコメントを一部引用します。

40歳半ばにして、女優の榊原るみ(つまり私ですが)と幸運にも巡り会い、結婚してアメリカに渡り、映画配給や製作会社のイレブンアーツ(つまりジュンイチ=11の芸術)を作り、日本映画をアメリカで拡げ、海外に販売するという慣れない仕事を始め、映画も超低予算のホラーを作りました。その後、会社をパートナーに譲り、フリーとなって、日系アメリカ人の歴史を描く映画三部作を作る事になりました。最初の2本は私が映画を指導したのですが、タイトルは謙虚に「監督の補助」としていたのです。しかし、三部作最後の映画では、やはり「監督の監督」という嘘偽りのないクレジットを要求し、勿論拒める人は誰もいないので、そうなった次第。すずきじゅんいち君の簡単な履歴(?)と、映画史でも無い「監督の監督」という私のクレジットの由来です。

実際に映画のエンドタイトルで、るみさんの肩書きが「監督の監督」になっていました。
こういう遊び心はいいですね。

ちなみに、私がロサンゼルスにいたときに、
すずきさんやるみさんと一緒に日本映画の映画祭イベントや
映画ビジネスの会社をやらせてもらいました。
「イレブンアーツ」という会社名も私が提案したものです。
一緒にカンヌ映画祭へ行ったこともあって、とてもいい経験になりました。
ロサンゼルスですずきさんとるみさんと出会ったことに感謝しています。

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