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自分を見つめ直すためのお手本となる『走る哲学』

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400メートルハードルで活躍していたプロ陸上選手の為末大さんのことは、以前からお名前は知っていましたが、そんなに関心は持っていませんでした。最近、為末さんのツイッターでのつぶやきをたまたま読んで、その思索の深さに感心してフォローするようになったのですが、そのツイッターでのつぶやきをまとめた本『走る哲学』が出版されたので読んでみました。

トップアスリートとしての経験に裏打ちされた深い思索から出てきた言葉には、心に直接響いてくるような名言、至言が多く、単にスポーツ選手だけでなく、ほかの世界で活動している人たちにも通じる内容です。

私は自分ときちんと向き合って自分を見つめ直すことが人生を生きていく上でとても大事だと思っていて、そのためのツールとして「自分史」を提唱していますが、この『走る哲学』の最初と最後の章は「自分を軸に」がテーマになっていて、自分と真摯に向き合い、見つめ直すためのお手本となるような言葉がたくさん載っています。一例として、本の一番最後の「自分と向き合う」の項から一部引用します。

私は足りなかった。もっと認めてほしい。もっと認識してほしい。自分自身が世の中に認識される事に喜びを感じた。他人の評価はすぐ消え虚しさが残る。だから必死で走りそして演じた。私がなりたい姿よりも世に欲される姿を。

上手に振る舞えていた。しかしすっきりしない何かがずっと心の中に引っかかっていた。「いったい私は何になりたかったのか?」大阪世界陸上で予選敗退が決まった時、私の中で何かが壊れた。それは他人の評価、社会的価値、そして望まれる自分の姿だったのだと思う。

子ども達が楽しそうに走っている。いつの前にあの道から外れたんだろう。僕は走りたくて走っていたはずなのに。いつもゴールだけ見ていたはずなのに、いつから観客が気になるようになったんだろう。涙が出た。一周してまたスタートラインについたような気分だった。走ろう、今度は自分のために。

現在、iPhone、iPad用の電子書籍も出ていて、こちらは紙の本よりも安く、本に入りきらなかった文章や、為末さんのインタビューの動画なども入っていておすすめです。

為末 大・走る哲学: トップアスリートの哲学を学ぼう。 - iPhoneアプリのAppBank

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