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ネットやソーシャルメディアに多様な視点から迫る一冊:『世界を変えたソーシャルメディア革命の落とし穴』感想

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ロサンゼルスに住んでいたころからの友人で、ソーシャルメディアプロデューサーの立入勝義さんから著書『世界を変えたソーシャルメディア革命の落とし穴』を献本いただいたので読んでみました。

この本で、立入さんは、現在ネット、特にソーシャルメディアで起きていることを、故事成語や古典、歴史上の出来事になぞらえながら説明するという試みをしていて、「利用の代償」「格差」「人間関係」「自分」といったネットライフにひそむ落とし穴に落ちないためにどうすればいいのかを説明しています。

立入さんと話をしていると、話がポンポンと飛びながら話題が広がっていき、その発想の豊かさにはいつも感心しているのですが、この本の内容もまさにそんな立入さんらしく、古事記、日本書紀、徒然草、環境に関する国際会議、ソクラテスなど、ソーシャルメディアをテーマとした本とは思えないようなトピックが次々と出てくる多様性に富んだものとなっています。

個人的には、僕自身が自分史を活動テーマにしているので、立入さんの自分史的な内容に興味をひかれました。立入さんがソーシャルメディアの世界に入った経緯は、まさに「自分探し」のプロセスだったとのこと。自分が経営していた会社が行き詰まったことから、「意力」というブログを立ち上げて、自分が好きで得意である書くことに集中し、当時北米に住んでいたことの強みを活かしながら、アマゾンの電子書籍リーダーのキンドルをいち早く取り上げたり、ソーシャルメディアの展示会にブロガーとして取材しに行ったりして、コンテンツをつくっていったそうです。個人でも企業でも、自分自身のことを知ることが、発信の第一歩だと立入さんは語っています。

立入さんは大学では環境学を学んだそうで、環境の三大テーマである「持続可能な発展」「多様性」「グローカル(シンクグローバル、アクトローカル)」を視点にして考えるクセがついているそうです。この三つのテーマは、ネットやソーシャルメディアを理解する上でも役立つという話はうなづけました。

ソーシャルメディアをビジネスに役立てたいという方にはあまり参考にならないかもしれませんが、ソーシャルメディアを含めたネットについての思考を深めたいという方には面白い内容だと思います。

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