制約があるからこそ創造性が高まる
先日、私が代表を務めている一旗会Japanで、木村純さんを講師に迎えて「パワポでアート♪」というテーマで勉強会をしました。
木村さんは広告会社でプランナーやプロデューサーを務めている方で、あるときパワポでプレゼンテーション資料を作成していて「これをつきつめればアート表現ができるかもしれない」と気づき、パワポ・アートを始めたそうです。
mixiで仲間を募ってコミュニティー「パワポでお絵かき」設立し、仲間と共同展を開催。その評判がマイクロソフトに届き、Office2007の発売時にパワポ・アートの可能性についてマイクロソフト東京本社で講演もしたとのこと。
昨年の大震災を機に「パワポ・アートで何ができるか」という道を探りながら、再度共同展を開催し、12月には被災地支援プロジェクトとして気仙沼の仮設集会場でパワポ・アートをからめたクリスマス会を開催したそうです。
実際にどのように制作しているかもお話ししていただきましたが、パワポでこれだけのことができるのかと感心しました。いろいろな図形を組み合わせたり、グラデーションをうまく使ったりして面白そうでしたが、きちんとしたものをつくるのはかなり根気がいるようで私には無理そうでした(笑)。このジョン・レノンのアートも、基本的な部分をつくるのに20時間ぐらいかかり、その後もいろいろ改変してトータルでは100時間ぐらいかけているとのことでした。
木村さんの話で特に印象に残ったポイントは、通常のグラフィックデザインに使うイラストレーターやフォトショップに比べて、パワポの表現力には制約があるけど、だからこそ味が出て面白いということです。
これを聞いて、以前NHKの『プロフェッショナル』で放送していた脚本家の三谷幸喜さんの話を思い出しました。三谷さんはあえて制約をかけることで自分を追い込み、その壁を乗り越えようと創造性を発揮させるやり方をとっているそうです。たとえば『王様のレストラン』で舞台をレストランの中だけと定めたり、『新選組!』で一話は必ず一日の中で完結するというルールを設けたり。
これは通常のビジネスにも通じますね。特に起業の場合、最初はお金もモノも人脈もほとんどない状態から始めることが多いですが、そういった制約を乗り越えるためにいかに創造性を発揮して創意工夫できるかが、ビジネスを軌道に乗せるための鍵になってきます。
制約を否定的にとらえず、逆にそれを創造性を高めるきっかけとしてとらえ、飛躍のバネにできるように意識しておきたいですね。