生きづらさを乗り越えるために:『いいお坊さん ひどいお坊さん』感想
一般社団法人自分史活用推進協議会の仲間で行政書士の勝桂子さんが『いいお坊さん ひどいお坊さん』という新書を出版されました。雑誌記者として15年活動された後「こちらOK行政書士事務所」を開設し、遺言・相続・改装など終活分野をメインに活動されていて、生きづらさと向き合う任意団体「ひとなみ」も主宰されている方です。
勝さんのこれまでの経験や、僧侶や関係者の方々への取材、一般人のお坊さんに関するエピソードを集めたアンケート調査などをもとに、お寺やお坊さんの世界の現状や、お坊さんたちとどのようにつきあっていけばいいのかなどを具体的にわかりやすくまとめてあって、普段お寺やお坊さんとのつきあいはほとんどなく、仏教にもあまり興味を持ってない私にも興味深く読めました。
具体的には、寺の墓地から公営墓地への改装を依頼されるときに「ひどいお坊さん」の話をよく聞いてらっしゃるそうで、そのへんの話や、逆に一般人の中に積極的に入っていって相談に乗ったり、地域社会への貢献を目指したりしている「いいお坊さん」の話を紹介しながら、単純にいい悪いの話ではなく、目指すべき「中庸」がどこにあるのかを探っていくようなところが面白く感じました。
私自身は無宗教ですが、宗教的なもの、精神的なものにはとても興味を持っています。資本主義の元で情報社会が高度化し、拝金主義、効率主義がはびこり、何でも数値化されてしまうような生きづらい社会の中で、今後、宗教的、精神的な「目には見えないもの」が大事になってくると思います。成長社会から成熟社会になり、「モノ」の時代から「ココロ」の時代へと言われる中で、今後の自分の生き方や社会のあり方を考える上でも示唆を与えてもらえる本でした。