大学入試の英語をTOEFLにしたら、日本人の英語力が向上するのでは
脳科学者の茂木健一郎さんが、英語学習についてツイッターでつぶやいていたツイートがまとめられていました。
この中に、以下のようなツイートがありました。
英語(8)日本語は介在させないこと。英文をいちいち日本語に訳したり、日本語で発想してそれを英語に訳すことは避ける。直接英語で受け止め、英語でアウトプットするようにしなければいつまでも流れが滞る。
この英語学習で日本語を介在させないというのはとても重要だと思っています。私も日本の英語教育について思っていることをちょっとまとめてみたいと思います。
私は、中学校のときからずっと英語を勉強してきて、大学でも卒論を英語で書き、ロサンゼルスにも7年ぐらい住んでいましたが、今でもコミュニケーションツールとしての英語力は日常会話程度でこんなに勉強しているのに、どうして英語力がつかないのだろうといろいろ考えてきました。
そうして、一つ仮説として考えたことですが、日本の英語教育から、英文和訳、和文英訳の勉強をなくして、大学入試をTOEFL(トーフル、Test of English as a Foreign Language = 外国語としての英語のテスト)にすれば、英語を本来のコミュニケーションの道具として使える人が増え、英語教育がよくなるのではないかと思っています。英語を理解するには、日本語に翻訳しないといけないという無意識の思い込みが英語力をつけるための壁になっているのではないかということです。
英語をコミュニケーションの道具として使うには、英語をいちいち日本語に翻訳して理解する必要はなく、英語をそのまま理解できるようになればいいのです。英語をそのまま理解するというと難しそうに思えますが、たとえば、「Goog morning.」とか「Hello!」だったらいちいち日本語に翻訳せずに理解できますよね。そのように、日本語に翻訳せずに理解できる表現を増やしていけばいいだけです。
本来、日本語と英語は、文法も言葉もまったく違います。言葉の意味も1対1で対応しているわけではありません。たとえば、「腹が立つ」を「Stomach stands.」としても意味がまったく通じません。日本語の「ごちそうさま」にきちんと対応する英語の表現がなかったりします。そういうまったく違う言語を翻訳するというのは、ものすごく大変なことですし、言葉をコミュニケーションの道具として使う上では本来必要ないことです。英文和訳や和文英訳は、プロの通訳や翻訳家になりたい人だけ勉強すればいいことです。
学校のテストから英文和訳、和文英訳を一切なくしたら勉強するほうもかなり楽になるのではないかと思います。その意味で、TOEFLは英文和訳も和文英訳もなく、英語を英語のまま理解できればできるテストなので、大学入試の代替手段としていいのではないかと思ってます。
英語の授業は英語だけでやればいいということではありません。英語を英語のままで理解するための補助として日本語を使えばいいということです。英文法も文を構成するための基礎的なことを一通り勉強しておけば英語力をつける役に立つと思います。
その上で、コミュニケーション手段としての英語力を高めるには、日常で使われている生きた英語をできるだけたくさん聞いたり読んだりして、英語を英語のまま理解できるように、補助的に日本語を使って学習していくことが一番だと思います。