日本的価値観の海外発信が重要:『もし御社の公用語が英語になったら』感想
2月に初めてオルタナブロガーの定例ミーティングに参加したときに、森島秀明さんから著書の『もし御社の公用語が英語になったら』をいただきました。遅くなりましたが、感想を書かせていただきます。
この本は、英語の学び方についても書いてありますが、英語術というよりも、英語をツールとしてグローバル社会を生き抜いていくための仕事術が紹介されています。外資系IT企業で多国籍チームによるシステム開発のプロジェクトマネージャーをされたり、社会人留学されたりした経験からの具体的な話は説得力があります。単なる英語力よりも、相手の文化的背景を理解したり、、内容のあることを話したりすることが大事ということ、専門分野の単語力の重要性、短いセンテンスで結論から先に話すこと、有用なフレームワーク、プレゼン資料の作り方や、外国人との交渉の仕方など、いろいろと参考になる内容が多かったです。
個人的に興味深かったのは、ハーバード大学のサンデル教授の「正義論ブーム」が、日本だけでなく世界的なものらしいという話。「正義論ブーム」の背景に、従来の機会・プロセスの平等を重んじる米国覇権主義的な「個人主義・市場主義」から離れて、新しくグローバルな「コミュニティ重視」の価値観を作り出そうという動きがあり、日本人がなじんできた「性善説、先行投資、長期的関係重視」といった考え方を広めていくことが期待されているので、日本の幼児教育コンテンツを輸出することが社会貢献になるのではというのは面白い見方だと思いました。
私も、世界に出て行くときに、グローバル的な価値観を身に付けるだけでなく、「和を以て貴しとなす」や「三方よし」のような日本的な価値観を理解してもらい広めていくことが大切だと思っています。そのためには、きちんと伝統的なことも含めて日本文化を理解し、できればそれを英語で説明できるようにしておけるといいですね。ロサンゼルスに住んでいたときに、日本のことをなかなか英語でうまく説明できなかった経験があるので、このことは痛感しています。
東日本大震災が起こったことで日本は世界から注目を浴び、災害に対する日本人の態度が賞賛されたりもしましたが、福島原発事故により海外への風評被害が起き、日本に対するネガティブな見方も広がっています。こういうときこそ、自分たちがしっかりやっていることを海外に発信していくことが大事です。また、市場としての日本はしばらく厳しい状況になるので、若くて元気な人はどんどん海外に出て行くことを考える必要があるでしょう。この本などを参考にしてグローバル感覚を身に付け、英語で発信したり、海外で活躍したりする人が増えてほしいですね。