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実例によるOSSビジネスの利益の上げ方

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有楽町の東京国際フォーラムで開催されている「OpenSource WORLD 2009」に行ってきました。

朝一番のコンファレンスは、<「実例によるOSSビジネスの利益の上げ方」 ~インフラ編、CMS編、アプリ編で具体例を専門家が解説します~>と題されたセミナーでした。

OSSコンソーシアム発足の記念講演ということで、OSSでビジネスをしている3人が交替で話しました。以下、Twitter風にお届けします。

オープンソース・ソリューション・テクノロジ株式会社 代表取締役 小田切 耕司氏

OSSコンソーシアムについて

  • OSSコンソーシアムは8月に設立予定。その時はOSSコンソーシアム設立記念セミナーを予定。今日は発足記念セミナー。
  • 目的は、会員企業とユーザ企業のビジネスの促進。OSSの採用促進、ビジネスの推進、OSS市場の活性化。
  • ビジネス会員とユーザ会員の制度を用意する。
  • 7月29日に設立総会と設立記念セミナーを開催する。セミナーのスピーカーはビル・トッテン氏。

利益の上げ方~インフラ編

  • 当社はLinuxだけでなくSolarisとWindowsもやっている。
  • 得意なのはOSに依存しない認証ビジネス。認証統合やシングルサインオン関係とSamba/ファイルサーバ関係をやっている。
  • OSSしかやらないわけではなく、商用ソフトとOSSを柔軟に組み合わせている。
  • Sun Java DirectoryやActive Directotryもやる。
  • IT業界も、儲かる勝ち組と、儲からない負け組がはっきりしてきた。
  • ユニクロもそうだが、安くて、良いモノを提供できる企業が儲かっている。
  • 安いだけではダメ。高性能・高品質でなければならない。
  • 有償Linux OS本体は、実質的に一人勝ちの状態。
  • 今後は、Linux OSよりUnix系やWindows系も含めたOSSの伸びが大きいはず。
  • 安くてよいOSSを提供することがビジネスになる。
  • 「なんでもできます」はダメ。特化した技術や製品を持つことが重要。
  • できること/できないことをはっきりさせる。
  • OSSでは、人工(人月)ビジネスは儲からない。
  • OSSはサポートで稼ぐという考えは、甘い。サポートだけでは儲からない。
  • 海外のOSSの代理店も儲からない。自社独自の付加価値が必要。
  • OSSのいいところは、無駄な広告費を使わなくてすむところ。
  • 安いことは価値だが、日本人は安いだけでは買わない。高機能/高品質でなければならない。
  • 当社のライバルは商用ソフト、あくまで高機能/高品質を追究する。
  • 当社のビジネスは、LinuxとSolarisが半々。「認証なら任せろ」
  • サポートで稼ぐよりも、オリジナルよりも高機能/高品質な製品を開発する。
  • エンジニアが楽しめる仕事をメインにすることが重要。
  • サポートだけではエンジニアが飽きてしまう。
  • 新機能の開発は、技術のわからない経営者/営業ではダメ。儲かる技術の経営センスが必要。
  • 事例:北陸先端科学技術大学
  • Samba for Solarisを採用。コンペは商用NAS製品だった。
  • 勝った理由は、CIESとNFSでKerberos認証が使えたこと、WindowsとUnixで同じACLが使えたこと、パフォーマンスが倍だったこと。
  • 加えて、ソースコードレベルのサポートができたこと。
  • フルオープンソースで構築した。
  • 結論:高機能/高品質の追究が大事。

オープンソース・ワークショップ 代表 永原 篤 氏

利益の上げ方~CMS編

  • 世間にはCMSはまだまだ知られていない。
  • OSに依存しないOSSに今後期待している。
  • OSSアプリケーションは今後どのくらいのビジネスになるか。
  • 結論を先に言うと「利益率を上げましょう」
  • 今回はCMSの紹介がメインではないが、OSSのCMSには、XOOPS、NetCommons、他がある。
  • XOOPSは書籍やネットの情報がたくさんあって、技術者に使いやすい。
  • NetCommonsは国立情報学研究所が開発したCMS。フレームワークとして使って、モジュールを作って業務で使用することがおもしろいビジネスになるのではないか。
  • 利益を上げる営業の方法について、自分が言うまでもないが、顧客がシステムをいつ入れ替えるかのタイミングを把握することが重要。
  • 新規の開発案件で、商用ソフトと同じ土俵に立つ。
  • オープンソースを活かした協業の営業スタイルがある。
  • 利益率の改善ポイントは、以下の3つ:
  • OSSはベースが無料で初期費用は少ない。
  • 開発コストは情報が少ない分最初は上がる。
  • サポートコストはOSS CMSを使うと自社開発より軽減される。
  • 利益を上げるモデル:
  • 従来モデルのコスト配分は、例えば、製品ライセンス(50%)、開発工程(50%)だった。
  • OSSを使うと、製品ライセンスは無料、開発工程が増えて80%になる。残りの10%を競争力(値引き)に使い、最後の10%を自社の利益にする。
  • これにより、顧客とWin-Winになる。
  • IT系企業で上流工程を手がけたいという話をよくきく。どうすれば、プログラム開発からユーザの近くに行けるかで悩んでいる。
  • 当社はOSS CMSのおかげで、必然的に上流工程の仕事だけになってしまった。
  • 取引コストを考える。1から設計するのでは、顧客と仕様確認作業の取引コストが高い。
  • OSSを使うと、取引コストが下がり、顧客の満足度向上につながる。
  • 利益の上げ方やどこに営業に行くかという情報の流通について考える。
  • 技術以外の情報は、人と会って情報交換することが重要。
  • 自分の得意を明確に出して、協業する。
  • 協業によってCMSの便利さを伝えて市場を拡大したい。そして、お客様に満足してもらいたい。

株式会社マインド 営業部 部長 屋代 和将氏

利益の上げ方~アプリ編

  • MoSPは、国産の中小企業向けの業務系OSSアプリケーション。
  • (会場で挙手で知名度を測ったところ、MoSPを知っている受講者は約1割だった)
  • 2006年3月に人事給与と勤怠管理を出した。ライセンスはGPL。
  • 給与計算のバージョン3のベータ版を近日リリースする。
  • 2年半で約9,000ダウンロードされた。アプリケーションとしてはやや多い数字だと思っている。
  • 一般にはOSSビジネスはサポートビジネスとされている。
  • OSSアプリで利益を上げることはできるのか。
  • MoSPではベースをみんなで共有できる。お客様に安く提供したり、追加機能を自社パッケージとして販売したりすることで、利益を上げることができる。
  • MoSPアプリが増えるから、ビジネスチャンスが増え、さらに利益が上がるモデル。
  • 自社パッケージを低リスクで作れるのはMoSPだけ。

オルタナブロガーの中でも、小俣さんの日本シー・エー・ディー株式会社は、付加価値があるおもしろい製品を自社開発していて、引き合いも多いようです。OSSをただ売ったりサポートしたりするだけではダメで、独自の付加価値を付けることがOSSビジネスで成功する秘訣と理解しました。

明日(7月2日)は、11:00-11:50で、オルタナティブブロガーの、オープンソースCRM株式会社 代表取締役社長 内田さんが、「商用オープンソースSugarCRMの特徴とコンタクトセンター事例」と題して話します。

また、.orgセミナー(展示会場の中)では、15:30 - 16:55で、「CMS最新事情~ここ1年で大きく変わったCMS模様!」と題して、CMSパネルディスカッションが予定されています。

展示会場には、NetCommonsの展示コーナーもあります。

無料の事前登録はすでに締め切られているようですが、招待券をお持ちの方は、OpenSource WORLD 2009へ行ってみてはいかがでしょうか。

Comment(2)

コメント

いやー、ためになるなぁ、と読み進めていたらいきなりうちの話が出てきてビックリしました。。ご紹介ありがとうございます!
おかげさまでお問い合わせは大盛況ですが、まだまだ儲かっているというレベルではないですねぇ。でも、
「エンジニアが楽しめる仕事をメインにすることが重要。」
これは実現できていると感じています。メンバーは燃えてますからねぇ。
私も今日はLBIの集まりがあるので、OpenSourceWorld2009会場にも行く予定です!

当社も小俣さんの会社のようにキラリと光る個性的な製品を持った会社になりたいです。まだ先は長いですが。

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