SaaSで始めるIoT
IT業界で長く仕事をしていると新しいソフトウェアやサービスを見て感動することが少なくなりがちです。それでも「おおっ!」となるときがたまにあります。過去にNCSA Mosaic(初期のブラウザー)やVMware Workstation(仮想PC)を見たときは感動しました。
先日「Thing+」を見る機会があって、久しぶりに同じ衝撃を受けました。Thing+は韓国のdaliworks社が開発・提供するIoTクラウドプラットフォームです。日本では三夢ジャパン株式会社が代理店になっています。
IoTを実際に導入するときに、各種センサーから上がってくるデータをリアルタイムに収集して処理する仕組みをイチから開発するのはたいへんです。やりたいことを実現するまでに時間と費用がかかります。特にIoTは稼働後の運用監視の手間を考えておく必要があります。
Thing+は安い費用で簡単かつ短期間でIoTサービスを導入できるSaaS形式のクラウドサービスです。
Thing+は以下の3つの要素で構成されます。
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Thing+Embedded
多種多様なセンサーを接続するためのミドルウェアです。センサーをゲートウェイを介してクラウドに接続します。動作確認済みリストにある世界のパートナー各社が提供するデバイスから選べば、すぐにサービスを開始できます。動作確認済みリストに無い新しいデバイスは1週間程度で接続確認してくれるそうです。 - Thing+Cloud
センサーから上がってきたデータを溜めておくクラウドです。データは最低3年間保管されます。データ処理ルールやデータ分析のエンジンでもあります。「気温が30度を超えた時は朝10時以降であれば空調をONにする」のような設定をします。 - Thing+Portal
ブラウザー内のダッシュボードで管理機能を提供します。ルール設定、アラーム、グラフ分析などのウィジェットを画面に自由に並べてアプリケーションを作ることができます。
このThing+Portalが優れものです。ブラウザーの画面でセンサーとそのデータを表示するウィジェットを選択して、ドラッグ&ドロップで画面に配置するだけですぐに使えます。レスポンシブデザインでスマホやタブレットに対応しています。
画面のテーマやロゴなどを顧客に合わせてカスタマイズした画面を標準機能で作れることが強みだそうです。標準機能で不足があれば、REST APIを使って画面まわりを完全に自作する方法もあります。
Thing+の用途は、ビルや店舗で照明や温度のモニターと制御、冷凍倉庫や温室の温湿度モニタリング、駐車場の管理などいろいろな分野が考えられます。すでに20カ国でセンサー30万個が稼働している実績があるとのことでした。
Amazon、Microsoft Azure、IBM Bluemixに同じようなサービスがありますが、Thing+はよりSaaSになっていることが差別化のポイントとのことです。
IoTの仕組みがSaaSで提供されることで、利用のハードルがより低くなり、開発期間やコストの心配が減ります。あとはアイデア次第で活用が拡がりますね。
さてどんなサービスを作りましょうか。