それでも命を買いますか?
抱っこさせて売る。
「かわいい」と言わせたら勝ち。
これが生体展示販売ビジネスの奥義であり、常識です。
ペットショップの店頭では血統書付きの仔犬や仔猫が高額な値札を付けて売られています。
では、この仔犬や仔猫はどこから来たのか、売れ残って大きくなってしまったらどうなるのか、考えてみたことがあるでしょうか。
女優の杉本 彩は、公益財団法人動物環境・福祉協会Evaの理事長でもあります。数多くの動物愛護団体がある中で、Evaは政治や行政に働きかけて世の中を変えていく啓蒙活動を中心にしています。杉本 彩著「それでも命を買いますか?」は、ペットを取り巻く問題をわかりやすくコンパクトにまとめた新書です。> 冒頭の文は本書からの引用です。この本はペット産業の闇と言われる部分に斬り込んでいます。
商品として仔犬・仔猫を扱うブリーダーやペット流通業者の中には、命を軽視した繁殖や売り方をする業者がいます。一方には無理に繁殖させるために使い捨てにされる親犬・親猫がいて、もう一方にはペットショップで売れ残って殺処分される犬や猫がいます。ペット産業は既得権益を持っています。動物本位のやり方に変えようとするといろいろと軋轢が生まれ、抵抗勢力となります。
杉本彩率いる公益財団法人動物環境・福祉協会Evaでは、2015年9月20日~26日の動物愛護週間に「動物たちにやさしい世界を」プロジェクトを開催いたしました。
このプロジェクトの一環として、皆さまから映像制作費のご支援をいただき完成した作品が、こちらの「しあわせなおかいもの?」です。
命ある動物がモノとして扱われ流通していく姿をアニメーションで伝えています。
この動画をシェアしていただき、一人でも多くの方にご覧いただき、ぜひ考えていただきたいと思います。皆さまの拡散が「大きな声・大きな力」になります。
犬や猫を不幸にするのはペット産業だけではありません。「かわいい」からと衝動買いして、飽きたら飼育放棄する飼い主がいます。飼い主自身が保健所に持ち込んで殺処分される犬や猫は少なくありません。本書は「買う」側には「飼う」覚悟を求めています。
さらに本書は、一つにまとまれない動物保護団体の課題や、高齢者とペットの問題についてもふれています。
不幸な動物をなくすためには、社会全体を変えていく必要があります。一人一人にできることは限られていても、問題意識を持つ人を地道に増やしていって、大きな流れにしたいものです。