think Cのシンポジウムを見学
著作権保護期間の延長問題を考えるフォーラム(think C)が開催した「文化審議会『中間整理』とthink C有志提言をめぐる総括シンポジウム」を見学してきた。
同シンポジウムに関する具体的なレポートは、ITmediaをはじめ多数のメディアに掲載されるはずなので、ここでの拙い説明は省略するが、このシンポジウムにおけるパネルディスカッションを聴講するに、今後ネットメディアの発達とUGCの活性化が進めば進むほど、結果的に現行著作権法は「負」の要素を強めてしまうため、何らかの改定が必要になるのだろうなと感じた。
東京大学名誉教授の中山信弘氏による「著作権法は一段とビジネス・ロー化してきており、過去の考え方は適応できなくなってきた」という主旨の発言は、文化を守るためではなく利権を守るためという現在の著作権の有り様を鋭く指摘している。また、著作物を創造した者への尊敬は当然あってしかるべきだが、そのような「相手をリスペクトする」という思想は法律によって規定されるべきことではないという提言には大いに納得し、共感を覚えた。
このほか、道路財源に計上される予算が8兆円という時代に、文化庁の全予算は1000億円しかなく、その金額の中から文化財維持や文化振興活動など全てを賄わなければならない現状が紹介され、これは文化を輸出してコンテンツ立国を目指すと標榜するような国家としてはかなり情けない話だなと思った次第。
著作権保護期間の延長がしばらくは見送りとなった今、think Cの活動は今回で一旦区切りをつけるようだが、同フォーラム世話人の弁護士、福井健策氏によれば、今後も著作権問題等で何か活動が必要な時のために、集まった人脈はゆるくふんわりとした形で維持していくそうだ。
関連リンク:著作権保護期間は「金の問題」? 中山信弘氏や松本零士氏が議論(ITmedia)