オフィスワーカーの意識調査2025――多様化する働きがいと出社価値の再定義に向けて
オフィスワーカーの意識調査2025
――多様化する働きがいと出社価値の再定義に向けて
イトーキ中央研究所が全国のオフィスワーカー約5,300名を対象に実施した「オフィスワーカーの意識調査2025」が、日本の働き方議論に重要な示唆を投げかけています。本調査は、「出社かリモートか」という単純な二項対立では捉えきれない、働きがい・勤続意欲・生産性の実像を、世代別・心理面から丁寧に可視化しています。
まず注目すべきは、理想としては「出社中心」の働き方を支持する声が増えている一方で、実態としては約4割の人が「時々は出社したくない」と感じている点です。これは、出社そのものが否定されているのではなく、「出社する意味や体験の質」が厳しく問われていることを示しています。
次に、「働きたいと感じる時」の要因が世代ごとに明確に異なる点です。
20代は人間関係、30代は裁量や自己決定感、50代は成果や仕事の意義を重視しており、働きがいの源泉は年齢とともに移行していきます。画一的なエンゲージメント施策では、こうした多様な動機を十分にカバーできないことが浮き彫りになっています。
一方で、「働きたくなくなる要因」は世代を超えて共通しており、最大要因は人間関係のストレスです。制度や働き方の柔軟性以前に、職場での関係性の質が、働く意欲の根幹にあることが明確に示されています。
生産性に関するデータも示唆的です。職場環境や支援施策を「実感できている」層と「実感できていない」層では、生産性の自己評価に最大で10倍近い差が生じています。環境整備は単なる福利厚生ではなく、モチベーションと成果に直結する経営レバーであることが読み取れます。
勤続意欲については、20〜30代は柔軟な働き方を重視する一方、40〜50代は信頼できる上司・仲間、そして仕事の意義を重視しています。また、帰属意識を高める要因は「給与・待遇」だけでなく、「人間関係」「働く環境」を含めた三要素の組み合わせであることも明らかになっています。
この調査が示しているのは、働く人の意欲や定着は単一の制度や報酬で説明できるものではないという現実です。特に人間関係の質と信頼感は、待遇と同等、あるいはそれ以上に働きがいと結びついています。
エンゲージメントや働き方改革が制度論に偏りがちな中で、これからの人事・組織マネジメントには、「関係性」「環境」「成果意識」を統合的に設計する視点が不可欠になっています。世代ごとに異なる動機が混在する職場だからこそ、画一解ではなく、構造としての設計力が問われていると言えるでしょう。
働き方と職場体験を切り離さず、心理的満足度まで含めて捉えること。人と組織のエンゲージメントを高めるための前提条件が、いま改めて可視化された調査だと感じます。