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人材育成の現場で見聞きしたあれやこれやを徒然なるままに。

「そんなことまで教えないといけないんですか?」と思うけれど、「そこまで教えないといけない」んです。

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OJT担当の方の嘆きの中に、

「言われたことの意味や背景を考えず、表面的に指示通りにすることがあります。もっと自分で考えて、意味づけして動いてほしいんだけど」

というものがあります。 実はすごく多い。とても多い。

たとえば、

「これ、会議用だからコピー取っておいて」

と指示する。

コピーはとってくれたけれど、「裏紙」を使っていた。顧客との定例会議だということはわかっているはずなのに! とか。(← たとえです)

他にも、

「この植木、剪定しておいてくれる?」と依頼したら、翌日「丸坊主にしていた」とか。(←実話です)

そういう話が出ると、

「顧客との定例会議だから、裏紙ではなく、まっさらな用紙にコピーしてね。しかも、止めるのは左上1か所ね」
「剪定するのは、枯れている葉っぱだけだから、緑の葉っぱは剪定しなくていいから」

などとちゃんと説明しないといけないんでしょうね! と私はコメントします。

すると、

「え゛ーーーーーっ! 子どもじゃないのに、そんなことまで細かく指示しないといけないんですか?」と反論というか、驚きの声が。

「そんなことまで言わなくても考えてできる人になってほしい」というわけです。

確かに!とは思います、思いますが、現にできていないのだから、そこは教えるなり指示するなりしないといけないんですよね。

毎度言う必要はないけれど、自分が意図したとおりに相手が動かなければ、それ、相手が悪いと言っていても始まらないわけで、「裏紙は使わない。顧客に配布する場合の綴じ方はこれ。その他、注意事項は・・・」と教えないといけない。

一を聴いて十を知るタイプというのは、育成が楽です。放っておいても自分で成長していってくれる。でも、たいていの人は、そうではない。

最初は丁寧に意図だとか目的とか注意するポイントだとか細かく言わないといけない。

相手が若者ではなくてもそうです。キャリア採用の人、異動してきた人だって、その文化で、あるいは、新しい上司の元でのやり方にはなじみがなく、だから指示した側からすれば「指示したことしかしない」「指示の背景を考えていない」と思えてしまうような行動をとりがち。

「そんなことまで教えないといけないんですか?」と自分で思ってしまったら、「いかん、いかん、それを理解させられなかった私がいかん」と反省して、次のアクションに移ることが大事なのかなー、と最近思うようになりました。

嘆いていても物事先に進まないですし。

(それに、自分だって、誰かから見れば、「え!? そんなことまで教えないとわからないの?」と思うようなことを1つや2つやってしまっていると思いますし。笑)

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