システム化計画プロジェクトのポイント!!(その9) 〜つまらないIT仕事をワクワクさせる
「システム化計画プロジェクトのポイント」シリーズも第9回目となりました。システム構築の最上流であるシステム化計画は以下の3つの大きなステップで進めます。今回は3つ目のステップである「新システム構築計画の策定」の進め方について説明していきましょう。
- システム化の目的の定義
- 新業務/システムの概要設計
- 新システム構築計画の策定
前回の「新業務/システムの概要設計」ではだいぶシステム設計的なアプローチ(と言っても上流ですが)でしたが、今回の「新システム構築計画の策定」はプロジェクトマネジメント(PM)的なアプローチとなります。
大きくは以下のステップとなります。
- 開発工程の定義
- 実行プロジェクトの定義
- 開発工数の見積もり
- 開発計画(スケジュール)の策定
- 推進体制の定義
- 課題に対するアクションアイテムの整理
1.開発工程の定義
まず新システム構築計画のベースとなる開発工程をプロジェクトチーム間で標準化、共通化しておきましょう!
まず開発工程の種類としてオーソドックスなウォーターフォール型で基本設計→詳細設計→製造→テストという手順でいくのか、最近のアジャイルのような手法を使ってシステムの小分類ごとに設計→プロトタイプ作成→テストを繰り返すのか、その開発手法によっても変わってきます。
また仮にウォーターフォール型でいく場合も、要件定義、基本設計、外部仕様作成など同じような作業に、色々なネーミングがつけられるため、プロジェクトチームとして決まった工程名を決めましょう!!
既にシステム部門の中に標準があれば良いのですが、ない場合は、コンサルタントやベンダーなどが提供しているものやPMBOKなどの標準などを参考に決めていきます。ただ、どれも似たようなものですから、あまり悩まずに何か一つ決める!ということが重要となります。以降は、その決まった開発工程のネーミングでプロジェクトチームは会話をするようにすれば良いと思います。
2.実行プロジェクトの定義
開発工程の定義は計画表の横の列を決定していく準備としたら、実行プロジェクトの定義は計画表の縦の行を決定してくものです。
まず大きく実行プロジェクトは以下の3つに分かれます。
- アプリケーションシステム構築プロジェクト
- インフラ基盤構築プロジェクト
- 業務対応プロジェクト
「アプリケーションシステム構築プロジェクト」は文字通り、今回の新システムのアプリケーションの部分を構築するメインとなるプロジェクトです。大きなプロジェクトの場合は、アプリケーションのサブシステム毎に実行プロジェクトが切り分けられます。また各アプリケーションの共通部分をモジュール化や共通化するようなアーキテクチャの場合は、その共通部分を構築する「アプリ共通プロジェクト」があるかもしれません。
続いて「インフラ基盤構築プロジェクト」です。こちらはインフラ基盤の構築を対象としますが、大きくデータベースなどのミドルウェア部分とサーバーなどのハードウェア部分、そしてネットワーク部分に分かれることがあります。前者が「システム基盤」プロジェクト、後者が「ハード調達導入」プロジェクトや「ネットワーク構築」プロジェクトなどと分かれる場合もあります。またデータセンターなどが決定していない場合は「センター構築」プロジェクトも必要かもしれません。
最後の「業務対応プロジェクト」ですが、抜本的に業務改善を同時に行うときには業務の色々なルールを変更する必要があるため、システム構築と独立させた「業務改革プロジェクト」として大々的に行う場合もあります。またそれほど大きな業務変更を行わない場合も、新システムにスムーズに移行することは通常、難しいため「新システム業務対応プロジェクト」として業務上の変更点や、新システムの業務マニュアルの準備、テストの支援、研修実施などをユーザーサイドで行う為のプロジェクトチームは必須となります。
また業務対応プロジェクトの一環で、開発工程とも関連しますが「業務システム移行プロジェクト」や「教育研修プロジェクト」は別途切り出すこともあります。
最後に上記3つの大きなプロジェクト単位全体をマネージメントする「PMO(プロジェクトマネジメントオフィス)」をプロジェクト統括チームとして定義しておきましょう。
(次回につづく)