システム化計画プロジェクトのポイント!!(その4) 〜つまらないIT仕事をワクワクさせる
前回に引き続いて、最上流の「システム化計画」における「システム化の目的の定義」の7つのステップの説明の第4回目です
- 経営課題の整理
- 組織内問題点の分析
- 外的課題の分析
- 現行システムの問題点の分析
- 上記課題に対する解決の方向性の検討
- システム化の目的、目標の定義
今回は「上記課題に対する解決の方向性の検討」からお話しします。
5.上記課題に対する解決の方向性の検討(システム要望の定義)
これまでに経営目線からの課題、現場ユーザーの課題、そして現行システムの課題、外的課題などあらゆる視点からの課題を洗い出してきました。それらを題材にして、課題解決の方向性検討のワークショップを開きます。この段階が前半の「システム化の目的」の中で最もワクワクした仕事となります!
課題解決の方向性検討のワークショップには、できればユーザー部門の課長、部長以上の上位の人が参加したほうが良いと思います。というのはここでディスカッションする内容がユーザーから見たシステム化の目的およびスコープになってくるからです。
まず既にたくさん洗い出されている課題について整理された情報を、参加メンバーが理解、共有します。そのためのディスカッションをしましょう。そこでは、沢山出ている課題の中で何が、重要か、本質的な問題化を選んで行く方法がよいと思います。また課題として現れている内容の裏に隠されているコンテキスト(背景情報)を共有してもよいでしょう。
次にいよいよ課題解決の方向性です。ワクワクしますね。ここでは、参加メンバーにポストイットで課題解決のアイデアをホワイトボードなどに張り出してもらってもいいと思います。または小チームに別れてディスカッションしてその結果としてのチーム毎の課題解決のアイデアを発表してもよいと思います。
ファシリテーターはその際、課題解決の軸を提示してあげることが重要となります。システム化計画なので、まず「IT軸」を示すべきでしょう。新システムによってそれを解決していく、そのために必要な機能を定義していきます。
それとは別に「ビジネス軸」、または「業務軸」も同時に示すとよいと思います。この「ビジネス軸」、または「業務軸」はビジネスサイドとして考えなければ行けない、業務プロセスの改善やビジネスルールの改訂、そして組織の変更などのアイデアです。こうしたビジネス軸のアイデアはIT軸のアイデアとセットで行われる事で効果を発揮するものがあります。
この段階で、システム化計画プロジェクトでは、前半において最高にワクワクした瞬間を迎えます。システム化によってこれだけのことができる、実現するというTO BE像が皆に共有されていくのです。
最後にこうして出された解決の方向性(アイデア)を、あとで見やすいようにグルーピングしておきましょう。その場合、業務分類ごとの整理が見やすいと思います。
さて、もうお気づきと思いますが、こうして業務分類ごとにIT軸の解決の方向性が、新システムのIT要件(ここでは要望)一覧となるのです!
6.システム化の目的、目標の定義
先ほどのワークショップにおいて、最後に「システム化の目的、目標の定義」を整理して、参加メンバーと確認、共有していきましょう。
業務分類ごとに、何がシステム化の目的になるか、ビジネスサイドからの新システムに期待する目的は何なのか、新システム化と合わせて何を実現するのか、などを定義していきます。
ここでは、ファシリテーターがサマリーした検討結果の内容についてのメンバーに共有を行い、そうしたベクトルが最終的に正しいかを確認、合意形成することが重要となります。
進め方としては、前回の「上記課題に対する解決の方向性の検討(システム要望の定義)」のワークショップを一旦終了し、その結果をファシリテーターが一旦持ち帰り、事前にシステム化の目的、目標としてサマリーしたうえで、再度、最後のまとめのワークショップを行うとよいでしょう。
ここまでが「システム化計画」の前半「システム化の目的の定義」のステップとなります。これだけでも一仕事ですが、この後、「新業務/システムの概要設計」、「新システム構築計画の策定」のステップに続きます。次は、ユーザー主導で洗い出されたシステム化の要件、要望をシステム的にどうさばいていくかということになります。ここまでがどちらかというとユーザー主導でしたが、この後はシステムコンサルタントやシステムエンジニアの力がフルに発揮されるステップとなります。
乞うご期待(次回につづく)