なぜSIerの新規事業はうまくいかないのか!?
「SIはクラウドビジネスモデルになぜ適用が難しいのか!?」でも書きましたが、なぜSIerは新規事業がうまくいかないのでしょうか。
SIerが新規事業をするには、必要な仕組みと能力が足りてないのだと考えています。
今の SIerは、基本的に需要が右肩上がりな時代にハードウェア販売、ソフトウェア販売、受託開発を中心に成長してきました。ビジネスは非常にシンプルでローリスクローリターンなビジネスを展開してきたため、現在の新しい事業開発には全くついていけてないと言わざるを得ません。
ではなぜ失敗するのかを見てみましょう。
①失敗が許されない
そもそもSIerはどこも堅実なビジネスもモデルなので、社内評価が減点評価となっています。そうなると能力あるメンバーは、1名ぐらいアサインされるものの、ほとんどが能力あるメンバーがアサインされません。ただえさえハードルが高い新規事業にそんな状況であればうまくいくはずがありません。しかもビジネスがそれなりに立ち上がったとしても、既存ビジネスから新規ビジネスにリソースとお金をシフトできず事業の柱にならないことがしばしば起こっています。新規事業は、なかなか成功と評価されず、そのチームに加わると自らの評価もされないので、ますます能力あるものがアサインされにくい状況を作っています。
②そもそも新規事業開発の手法をしらない
SIerでは新規事業開発手法が理解している人が少ないため、どうやって新規事業を作っていけばいい分かっていないことが散見されます。一つの新規事業の開発方法を例にとると、市場調査し、アイデアをまとめ事業プランを作る。プロトタイプでテストしてユーザーに受け入れるか評価し、ローンチ方法を検討、実際の事業開発を開始する。事業開発には、KPIを設定しモニタリンングしながらPDCAを回しながら進め、時にはピボットの検討も必要です。
上記のような方法をとるとなると、そもそも市場調査方法や、マーケティングを知っておかなければならないし、事業プランをしっかり練るには、ファイナンスも知っておかなければならない。あとはプランニングして承認されたとしても市場に合わせてピボットする判断基準やKPIモニタリング基準などを揃える必要があるが、その方法を知っている人間がいるSIerはほとんどいないという状況です。
③新規事業を評価しフォローできる仕組みがない
良いアイデアをもった事業プランでも、それを評価できる仕組みがなく、既存の評価指標の延長で判断する。そうすると失敗を恐れ、良いアイデアでも試してみようという形にならない。
また新規事業が立ち上がったとしても、既存の仕組みの評価が強いため、内部からの反発や、邪魔が入り、結局形にならないことがしばしばおこっています。SIerは、エンジニアを中心とした稼働率で勝負するビジネスを展開しているので、企画やマーケティングといった考え方を深く理解している人はそもそも少ないし、そういう人間を評価できる企業も少ないのが現状です。
さてではどうすればいいのでしょうか。
最低限以下のことを守って進める必要があると考えています。
①新規事業開発の経験のあるものをアサインする
・そういう研修を長期的に受講させるでもいいですし、新規事業開発のコンサルタントを雇うでもいいですし、知っている人をチームに入れることが必要です。何も知らないで新規事業を考えろというのは、非常に古いやり方で検討期間も入れると結局費用対効果が得られません。
②トップ自ら、KPIを守っている限り新規事業チームを会社から守る
・新規事業や新規サービスをやると、様々な横やりや邪魔が、社内から出てきます。それを守ってやる必要があります。そのためにはしっかりKPIを定め、説明責任を果たしている限りにおいては、トップ自らそのチームを弁護する姿勢が大切です。
③失敗すればそこから学び、それをプラス評価し、その経験を生かして次のチャレンジをする仕組みを構築する
・結局良いアイデアでも、リスクばかりが目に入り、goを出せない経営陣。そして失敗すると後がないという雰囲気を出す社内を変える必要があります。新規事業や新規サービスは失敗する確率の方が高いです。そして失敗を経験するからこそそのノウハウがたまり次は失敗の確立が下がっていきます。チャレンジすることへの加点評価や、リスクでなくリターンに着目する評価方法を仕組みとして先に構築すべきです。
社長や役員が、声高らかに、チャレンジを推奨したり、失敗を評価するといっても、仕組みがそうなってない限りにおいては、社員はチャレンジしません。そういった仕組みを先に構築し、セーフティーネットを作らないと結局やったものが損をする形となってしまいます。
SIerは低付加価値企業郡だと言われ出しています。すでにそういう認識の企業は多いです。世の中に価値あるものを提供するには、既存のしがらみから脱却し、新たなビジネスを考え出すことが業界として必要だと思います。
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Takeaway〜SIerの新規ビジネスの成功させるには、仕組みをまずは用意せよ!!
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