新トレンドを読むには、新トレンド分析が必要だ!!
前回の「新トレンドはプレーヤーの入れ替えをもたらす!!」では、ちょうど今、新トレンドの登場時期だとマクロ環境から読み解いた。それでは、どのテクノロジーやビジネスモデルが、新たなトレンドになるのだろうか。
結論から言うとそれを明確に予測するのはかなり難しい。
しかし、現場で「競合他社が新トレンドのソリューションをやっているので当社もやるべきだ」とか「市場調査によると○○というテクノロジーが流行りそうだと言っているので当社も取り入れよう」と言っているのでは、そのトレンド自体が自社にマッチしているかどうかが不明だ。しかし何もしないでいれば、トレンドがすぐにコモデティー化してしまう。
また新たなテクノロジーやビジネスモデルを自社のコアなソリューションとして展開するには、エンジニアの育成、販売方法の定着化など考えると2〜3年はかかり、新トレンドの波に乗り遅れ、新トレンドがコモディティー化してしまうと、せっかく育成した技術でも収益率の低いビジネスになってしまう。競合を出し抜いて、顧客に新たなテクノロジーを持って高い付加価値を提案できなければ、高い利益を獲得できない。
そう考えると、戦略的に新トレンドを読んでいく必要なのである!!
ではどのように新トレンドを戦略的に読むのであろうか。一つの例を示そう。
基本的に新たなトレンドが登場した場合、
1、新トレンドの分析
2、新トレンドのPoCなどをユーザーも含めて検証や市場調査
3、ファースト、セカンド案件の獲得
このステップを経て初めて自社のソリューションやサービスとして展開できるのである。
もちろん様々な新トレンドを全てこのステップで検証できれば、よいのだが、世の中目まぐるしく新トレンドが登場する中、全てを対応するのは不可能だ。だから戦略的にどの新トレンドを検証するのか的を絞らなくてはならない。そのためには最初ステップである新トレンドの分析が大きなポイントとなる。
例えば、2014年、プライベートクラウドメインにしており、サーバーやーPCをオンプレミスで導入し、自社のアプリケーションパッケージを導入している中堅SIerの立場で「新トレンド分析マトリクス」にプロットしてみる。
(出典:なぜ新規事業は成功しないのか〜大江建(著)〜 より引用)
※今回はわかりやすい新トレンドをプロットしたが、実際は様々なトレンドをプロットして経年比較する
縦軸がテクノロジー、横軸が市場の知見、とし、9のつのマスのマトリクスを作成する。そこに、競合他社数社をイメージしながら、新トレンドのテクノロジーをプロットし経年の変化を見て分析する。
特に既存領域、回復領域、優先領域は要注意だ。
既存事業の領域は、既存の自社の既存領域なので、新トレンドに侵食されているし、回復領域は、自社の市場でテクノロジーは追いついていないので早急に技術をキャッチアップして追いつかないといけない領域である、優先領域は、技術的にはキャッチアップしているが、他社が新たな市場でチャレンジしていて、自社は何もしていない領域である。
自社の持っているテクノロジーや戦う領域を起点に考え、経年の変化を比較することで分析が可能となる。
これにより、どの領域で攻めるかを決定し、具体的にそのトレンドに打って出るかを意思決定しなければならない。その際は、その領域が魅力的であるかどうか、自分の事業とのマッチするのかなど、事業との観点で評価しなければならない。
(出典:グロービス経営大学院_経営戦略_Day2 梅澤講師_ハンドアウトを著者が加工)
事業主体の観点から、その新トレンドが市場的に魅力なのか、競争優位性が発揮できるかを見ないといけないし、全社の戦略と適合しているかどうかも見なくてはいけない。あとは現実性である。いくらこの領域がいけるとなっても、リソースの調達や新技術への適用力には時間がかかるので、見極めが必要だ。もし技術的に追いつけないのであれば、撤退か、アライアンスを検討する必要がある。
このように経年でどのトレンドが、自社にとって狙う的になるのかを判断し、自社のリソースや戦略と照らし合わせて、Go,NoGoを判断しなければならない。
新テクノロジーが専門誌で特集されたり、調査会社が出した今後流行りそうなテクノロジーをみて儲かりそうなのでうちもやるべきだと考えていないだろうか。闇夜に散弾銃を放つのではなく、しっかり的を絞らならいと弾は当たらない。
他社を出し抜いて高利益をあげたいのであれば、しっかりとトレンドを読み時代に先駆けて仕掛けることが必要である。
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Takeaway〜時代に先駆け戦略的に仕掛ることが高収益への道である!!
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