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なぜ中国ではマクドナルドよりケンタッキーのほうが多いのか

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 夏休みに、家族を連れて中国に帰省してきた。上海で滞在した間、泊まったホテルのテレビはいつもケンタッキーのコマーシャルを流していた。妻は「ケンタッキーは中国で人気があるんだね」と感心していた。

 そういえば、私が中国に出張にいった時、北京上海などの大都市に行けばもちろんマクドナルドもケンタッキーもあるのだが、ちょっと離れた小さい町に行くと、なぜかケンタッキーしか見当たらなかった。周囲の繁栄しているとはいえない町の中、KFCの看板が非常に目立った風景を何度も目にした。

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 日本ではケンタッキーとマクドナルドは追いつき追い越せのライバルだが、両社間の規模、売上の差はそれほど開いていないようだ。しかし、なぜ中国ではマクドナルドよりケンタッキーのほうが多いのか。

 興味をそそられたため調べてみた。マクドナルドは1990年に深セン第一号店をオープンして以来、現在1300店舗を運営している。一方、ケンタッキーフライドチキンは1987年に北京に第一号店をオープンして以来、現在全国で3200店舗を展開しているようだ。

 両社はほぼ同じ時期と言えるぐらい中国進出していた。2001年の時点でマクドナルドは351店舗、ケンタッキーは500店舗で、両社の店舗数の差はそれほど大きくなかった。しかし10年を経った現在、両社の店舗数から見ると、ケンタッキーのほうが圧倒的に優勢であると言わざるを得ない。

 このような結果を導いたのは、やはり両社の中国市場の戦略(攻め方)が違うからだろう。

 マクドナルドは中国一線都市、二線都市を中心に店舗を拡大してきた。それに対して、ケンタッキーは三線都市四線都市更にもっと小さい町にも積極的に出店。現在、チベットを除いた600箇所を超えた地方へ出店数が急速に拡大している。

 マーケティングのポジショニングから見ると、マクドナルドは若者向け、青春、活発なライフスタイルをうたっているが、ケンタッキーは家族の団欒、暖かい食事の雰囲気をセールスポイントとして定着してきた。

 マクドナルドのマーケティングでのコンセプトは清潔(clean)、快速(fast)、品質(quality)、サービス(service)、価値観(value)と強調され、アメリカ式の味を堅持する一方、ケンタッキーは中国現地化にこだわり、現地の人の口に合うような中国風のファストフードの開発、提供に力を入れる戦略をとった。

 一例として、日本ではケンタッキーと言えばチキンのイメージが強いと思うが、中国のケンタッキーはご飯類まで売っているのである!このような発想はマクドナルドにして考えられないだろう。(笑)

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 中国現地、中国人の食習慣にこだわり続けたケンタッキーが見事に中国人消費者の心を確実につかんだ成功事例は、これから中国進出にのぞむ日本の会社にも参考になるはずである。



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