「中国ビジネスのここだけの話Vol.1」-中国人にとって納期とは単に努力する目標にすぎない
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中国の会社と一緒に仕事をするとき、一番気をつけたいのは、相手のペースに乗せられ仕事に対するコントロールがきかなくなってくることである。
大体の中国ローカル会社の従業員は、仕事の時間コストを気にしないタイプが多い。例え緊急な事態が起きて上司に「すぐ動け」と指示されても、担当者が勝手にその事の緊急度を自分なりに判断する。特に手元に仕事をいっぱい溜めて忙しい時に、いくら緊急事態と言われても、残念ながらそのまま無視することも多いのである。
中国の会社に物事を頼んだ時に、注文を出したらすぐ相手会社の担当者に確認しよう。その時、メールやファックス確認よりは直電話のほうがおすすめだ。注文内容、注意事項を相手に理解してもらうように詳しく説明してあげよう。話ができない場合、メールやファックスを出したら、必ず相手から「受け取った」という返事をもらうように心掛けよう。「注文を出したから大丈夫だろう」と、確認せず安心して任せきると、どこか行き違いのミスを招くかもしれない。
プロジェクトが進行している間も、必ずこまめに進捗をチェックしよう。中国では「計画趕不上変化」(計画より変化のほうが追いつかない)という言葉があり、計画通りに進んだプロジェクトはかえって稀である。途中で何かしらの不慮な変化で仕事のリズムが狂ってしまうおそれが必ずある。
また、中国人にとって納期とは単に努力する目標にすぎない、自分らの都合で平気に納期を遅らせる。日本側が催促したら、中国人担当者に「もう遅れちゃったからしょうがないよ。今、急がせても、慌てて作ったものじゃ品質は保てないよ」と反論されてしまう。頭が痛いけれど、なかなか打ち返す手がない。
正直に言うと、中国側も意図的にわざと納期を遅らせることがあまりないと思うが、納期管理が日本に比べて格段に甘いのである。
中国側がお客に提示した納期は仕事がすべて順調進んだ場合での計算であり、想定外の出来事が発生しない前提条件なのだ。日本では、不慮の事態を想定し、わざと長めに納期を設定するが、中国にはそれがあまりない。
しかし、購入した原材料がなかなか届かなかったり、加工設備が突然故障したり、作業員が急病で出勤できなかったりして、中国の現場は常に予想外の出来事の連続なのである。
最初の段階では、工場の管理者は「一時遅れたけど、後工程で何とか挽回するよ」と根拠無き自信を持っていても、だんだん納期が遅れて、最終工程の時、はじめて「もう納期通りに完成できない」と連絡が入ってくる。これでは結局お客さんに迷惑をかけるばかりである。
これは「中国人の性格上のルーズさ」とご指摘をいただいてもしかたがない。「納期を守らせる」のは本当に難しいかもしれないが、中国側に提示された納期に対して、本当にできるかどうかを日本側の担当者は見抜ける能力が必要だ。
もちろん製品によって違うが、私の経験上では、「中国側に提示された納期に更にプラス2週間から1ヶ月」という納期の計算方法が無難なやり方かもしれない。
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