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いいね!とふぁぼとブックマークの狭間で

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こんにちは。きょうは先日、タネマキでサービスを作っている方と話をしていて思ったことを書いてみたいと思います。

その方はユーザ自身が「いいね」をつけたコンテンツをリストアップして追跡できるようにしたい、という話をされていたんですが、「いいね」という名前にどこか違和感がありました。で、彼と話していていろいろ思ったことがあるので、まとまらないですがこちらに投下してみます(っていう話の冒頭だけうちのCTOに降ったらこれから書くことはほぼ彼に言われてしまいました。なんというネタつぶし)

さて、Facebookのいいね、に類するものってWebの世界ですっかり市民権を得た気がします(Likingというそうです)。たいていのWebサービスにはもうこの機能はついていますよね。ただ、よくよく考えてみるとこのLiking機能って、Webサービスによって、似てるけど同じじゃないんですよね。

ざっと、

  1. 自分が好意を伝えることを目的としているタイプ
  2. そのコンテンツをストックすることを目的としているタイプ
  3. 両方のハイブリッド

があるんですよね。

Facebookの「いいね!」はまあ、当然のように1つめですよね。自分がどこに「いいね!」したかって調べればわかるでしょうけれど(わかるのかな?)、あんまりそれをあとあと気にするようにはできてない。そのぶん、「いいね!」をする行為のハードルは低い。いっぽうでこのタイプの「いいね!」はされた側からみると、数値化してそれを気にするようなつくりになっています。Facebookの通知は、自分が「いいね!」したコンテンツに何かあっても通知はしませんが、自分が「いいね!」されたものについては全部通知されますよね。

はてなのはてなスター。あれもかなり気楽につけられるように作られています。複数つけられ、連打できることでFacebookの「いいね!」よりも表現力を増しています。カラースターなんてのもあります。でも、好意を伝えることについての表現力は増しているけれど、けっして「つけた側」がストックするためにつけるものではない。ストックのためにはすでに「はてなブックマーク」があります(はてなブックマークはもともとソーシャルブックマークっていうジャンルだから、ストックと同じくらいの強度で表現ツールにもなっているのがややこしいですが、話が脱線しすぎるのでここでは触れません)

いっぽうで、2の例。ぼくは会社でいまSlackというツールを使ってますが、Slackにおける「スター」はブックマークのようです。面白いことに、Slackでは付けられた側からみて「どれだけスターがついたか」はわからないようなんです。徹底してストックする側の機能なんですよね。

最後はご存知TwitterのFav(ふぁぼ)。こちらは文字通り「お気に入り」です。これ、ストックと好意の表明の価値がちょうど同じくらいの印象があります。3のパターンですよね。

ふぁぼはつけられた側にも通知は行くし、どれだけつけられたかも確認できます。ぼくなんかはほとんど使わず、本当に気になったものだけに付けるようにしてますが、ふぁぼを「いいね!」と同じように使っている人も多いと思います。

これは最初からそれを狙って設計したのかどうかはよくわかりません。当初は2を意図して作られたが、1のほうに引きづられていっているような気もしてます。そもそも、2のパターンはSlackの例を挙げるまでもなく「ブックマーク」っていう言葉のほうがしっくりきます。ブックマークといえばただのメモというわけで、本来好悪は関係ないはず。なんですが、不思議なことにブックマーク=お気に入りっていう文脈もすでにあったりするんですよね(IE?ブラウザのブックマークがお気に入りを呼んだのが根源じゃないかと疑ってますが)それで、当初の設計上は2であっても、ネーミング的にだんだん3のニュアンスが強くなってしまうケースもけっこうあるんじゃないかと思ったりるするわけです。

この辺のバランスがWebサービスによって違うのがおもしろいなと思います。SNSは相互作用の促進の関係上1が多いのかな、ブログやチャット系のツールだと「発信すること」の強さもあって2か3に偏ってる気がします。とくに数字の裏づけの無いただの印象ですが。

逆にこれからWebサービスを作る方は、そのLiking行為がなんのために使われるのか、をよく考えたほうが良いでしょうね。そのばあい、名前が重要な気がするんですよ。Facebookのおかげで「いいね!」という名称は暗黙的に1と思われるかと思います。「お気に入り」に類する名称であれば、1寄りの2(つまり3)のような機能が期待され、「ブックマーク」にすれば完全に2と受け取ってもらえるんじゃないかと思いました。

こんなことWebの専門化がすでに指摘してそうなので、恥ずかしいですが、まあそんなかんじです。はい。

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