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Moodle ワークショップを開催しました

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このところOSSコンソーシアムの部会と総会がありましてご報告を書こうと思いつつ、なかなか書く時間が取れずにもうかなり日数が経ってしまいましたが思い出しつつ少しご紹介します。

弊社はOSSコンソーシアムでBA部会というところに所属しております。ビジネスで使えるOSSアプリについてセミナーをやったり、ワークショップをやったりしています。先日はこの部会の主催でワークショップがありまして、ぼくも主催者側ではありますが、参加者の皆さんに混じって手を動かして来ました。この日のテーマはMoodle。MoodleはいわゆるeラーニングのOSSアプリケーションです。これまで興味はあったものの、実際に触るところまでには至らず、この日はじめて実際に入れて動かすことになりました。

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講師はぼくも大好きなOSSおじさんであるところの湯澤さんです。味のあるパワーポイントで全体の説明があって、開幕。ワークショップなので、セミナーと違って持参のPCでインストールをするところから。意外にもこれに苦戦する人がたくさん。まずWindows版が見つかりにくい。中にはすでにPHPやMySQLが入っているからというわけで追加で入れようとして上手く行かない方も。この手のインストーラは簡単に試してもらうことに注力しているせいか、既存環境下へのインストールになると急にハードルがあがるようです。

ぼくの環境下では無事配置されました。ただ、ブラウザを開くとインストールがまだ終わってないことが分かります。Web上では対話式でインストールシーケンスが続行されるんですね。こういう方式も最近のシステムのトレンドかなと思いました。最低限の配置はサーバ管理者的な権限下で行って、あとのセットアップはWeb上でやるというものですね。DBの作成に大変時間がかかりました。画面で作成テーブルらしきものが羅列されるのですがすごい量です。Moodleも歴史が古いせいか、かなり多機能になっているようですね。無事インストールが終わって画面を開いてもメニューの数が多すぎて何をして良いのか分からない。これは確かにワークショップ形式でやることに意味があるところだなあと思いました。

ユーザを作成したり、コースを作成して、レッスンを作成したり、など代表的な機能を試したところで終了時間に。手を動かすことは大事だけれど、そうなると機能をいろいろ紹介するには時間がやはり足りませんねー。とはいえ、ぼくとしては少し触れただけでもなんとなく概要が分かったので満足です。

eラーニングの世界のシステムがどれほどの水準なのか全く知識が無い状態でしたが、Web上と言うことでの限界がないとはいえないものの、ぼくみたいな素人が考えているようなことは普通に出来そうで、たいへん面白いですね。以前の部会でもMoodleの運用例を伺ったことがあり、感心したんですが、eラーニングというのは実は業務において「情報資産を残す」形としてたいへん「強い」形式なんじゃないかと思います。ノウハウやドキュメントはただそのへんに残っているだけではぜんぜん意味がなくて、それを再利用したり、進化させたりという働きかけが起きないとすぐに死にます。ECMみたいな箱があれば少しはマシですが、それでも「箱に入れただけ」ではたいして意味がない。

これらの情報をeラーニングの形式で残すことで、利用者がつねに「情報を利用すること」を意識せざるを得なくなります。単純なクイズ形式になっているだけでも、そこにただあるだけの情報と対話をする必要がでてくるし、そこに対話をして情報を活用してくださいというメッセージになります。これはすごいことです。

そんなわけで弊社の扱うジャンルに対するアプローチとしてもeラーニングって面白いな、というのがあったわけですが、それとまったく関係なく、Moodleみたいなものがいちばんのターゲットにしている教育分野で、もっと利用が広がらないものかな、と感じる点がいくつかありました。ぼくの実家は学習塾をやっていてそれを手伝ったりしていたので、思うところが多いのですが、Webと紙との相互運用をもっとできないものかと思うんですよね。

たとえば学校の先生の中でもこの手のものが好きな先生がまれに居て、ネットで見渡すとWebを使った教育の実績もあるようですが、それでもある一部をWebでおぎなっている程度でしょう。ほとんどの先生はいまなお紙のテストやテキストを使っていますよね。生徒側にもデバイスがないと利用できないこともあるわけですし、ぼくはこれはこれでしかたないと思います。ただ、この「Webで補う」部分はもっと広がっても良いなと思うわけです。「紙をサポートする形で、Webシステムを利用する」のはどの分野でも行われていることですから、これがもっと利用されても良いはずです。ただやはり、MooodleをみているとWebで完結するところは見事ですが、それを印刷に耐えうる形で紙の世界にもってくるところにはそうとうギャップがありそうです。

Webで問題や課題を「小さな単位」で保存しておいてそれを組み合わせてコースを作ったり、あるいはWebから取り出して紙に配置してテストにしたり、というのが自由に出来ればいいのにと思うわけです。いまたぶん紙でテストを作っている先生は作った問題をせいぜいコピペするくらいの再利用しか出来てないでしょう。学習塾のようなところだってテキストを作っているでしょうけれど、そのデータはテキストの原稿データみたいな感じになっちゃってるんじゃないかなあ。各地で車輪の再発明的なことが起きているような気がしてます。

Moodleをはじめ、eラーニングにはデータ交換の規格があるらしいです。となると、Web上ではすでにデータの相互交換が出来るはずです。コース単位でのマーケットプレイスみたいなものも出来そうです(まあぼくが思うくらいですから、おそらくすでにそういう試みはあると思いますが)いずれにせよ、そこまであるのであれば、Web上だけでやっているのではなく、その外、紙にまで広がればいいのにな、という感想でした。

……とまあ、毎度のことながらまとまりがなくてすみませんが、とりあえず思いつきを書いてみました。

ところで、このワークショップはこれからも続きます。開催者側の立場からすると、インストールに時間を取りすぎるのはやはりもったいなかったですね。ここはあらかじめ行ってきてもらうか、あるいは上手く行かない人のためには一定時間格闘してもらって、それを越えてまだ出来なくても先に進み、既にインストールされた環境に相乗りしてもらうのがよかったかもしれません。せっかく3分間クッキングの音楽で、という話があったのだし、「すでに出来ているものがこちらにありますが……」はあったほうがよいですね。

次回、このワークショップは弊社が担当になる可能性があるのでそのへん反省点を行かしたいと思います。また告知しますのでよろしくお願いします。

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