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エンタープライズ(企業)向けのオープンソースとか育児とかについて考えていきます。

OSSコンソーシアム第三回総会

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お久しぶりです。

先日、OSSコンソーシアムにおいて、第三回総会がありましたので参加してきました。

地方自治体でのOSS活用事例のセミナーとして、宇部市と交野市での事例を、実際の担当者のかたが説明されました。

宇部市の事例は、インフラが印象的です。所内PCのシンクライアント化などからはじまり、公立学校のPCを教育委員会と協力してすべて仮想化するなどけっこう根幹的な部分でのOSS利用が印象的です。交野市では仮想化とOpenOffice化の紹介です。OpenOfficeへの移行はいくつか自治体で事例があるのでおなじみと言えばおなじみなのですが、やはり実際に進めてきた事例ですので大変興味深かったです。

そのなかで「市役所の文書は公共財なので、特定の企業のファイルフォーマットに依存してはいけないのではないか」というコメントがあり、まさにそうだなあと思わされました。これは、ユーザが利用するアプリレベルでのOSSであろうと、業務システムのOSSであろうと、ソフトウェアがOSSであること重要なポイントだと思います。

もちろん、公共財、という視点ではとくに強い意味を持つ部分ではありますが、これって一般企業においても同じなんですよね。業務で使う特定のソフトウェアの構造が、特定の企業のコントロール下におかれているというのは、企業活動において大きなデメリットだと思っています。

我々の扱うOSSがよく言われることは、あまり安くないということです。確かに導入当初は、OSSでないプロプライエタリのソフトウェアとあまり変わらないケースも多いです。ただ、長い目でみると、そうではない、という説明をしています。プロプライエタリのシステムであっても外部入出力がまったくないわけではありませんが、その入出力をコントロールしているのはそのベンダーなわけです。蓄積されたデータをベンダーに人質に取られているようなもので、これは隠れたコストになりかねません。あらかじめ中身が見えていることで、リスクを減らせるというのがOSSがコスト削減になる、という意味の一つかと思っています。

懇親会でお話しさせていただいているとき、OpenOffice導入時に「そんな有志で作っているようなアプリはいつ消えてもおかしくないのでは」と言われ、「LibraOfficeやらOpenOfficeやらが出ているが、なくなってないではないか。それは仕様も中身もOpenだからだ」と、説明できるんですよね、とおっしゃっていました。これもたいへん至言だと思いました。

初めはOpenOfficeの事例については良くあるし、と思っていたのですが、OpenOfficeというのはOSSの思想を浸透させるためのツールとしてもいい存在だという気づきを得られたことは大きな収穫です。交流は苦手なのですが、その後の懇親会も大変有意義だったと思います。

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