クリスマスの約束
師走に入ってから、本当に文字通り忙しくなってしまい、全くBlogのネタは尽きていないのに腰を据えて書くということが出来ずに今日を迎えました。
さて、このBlogを読まれた何人かの方から、「優しい表現」とか「ふわふわした文体」などと書評をいただきましたが、エントリーを1本書くのに3度ほど校正したうえ、まだアップする前に躊躇を繰り返してボタンを押している私にとって、これはこの上ないお褒めの言葉です。
何故かというと、このBlogを始めるにあたって、自分に課したテーマが、
・難しい用語を出来る限り使わない(英単語含む。書く場合は注釈や訳を入れる)
・シンプルな表現で、読みやすく書く
ということだからです。
学生時代に論文めいたものは随分と書いて飽きたし、自分にそれほど業界のことやマーケティングの専門的なことが語れるとは思えないし、何よりITに携わっている人もそうでない人も、そう堅い話ばかり読みたいとは限らないはず。
だったら、難しい話は他の方にお任せして(自分も皆さんのBlogや著書を読んで勉強をして)、素直に、マーケティングやマーコムの現場にいる、30代の中堅社員が何を考えて、どんなことに苦心や苦労、また苦悩を重ねているのかということを書いていこうと思ったのです。
でも、”難しくなく書く”ということがこんなに難しいとは・・・いまだに下書きを繰り返し、もはや感じるままにBlogに綴るということから少しかけ離れたところにいますが、それでも書きたいことは多々あって・・・来年もそれらを少しずつ自分なりに消化しながら書いていければと思っているところです。
などといきなり今年のまとめのようになってしまいましたが、タイトルの話題に戻ります。
先日、たった1枚出した葉書が当選し、タイトルにもある『クリスマスの約束』という音楽特番のTV番組収録を観覧してきました。
毎年クリスマス前後に放映され、深夜枠では驚異的な視聴率を叩き出す番組ですので、ご存知の方もおられるかもしれません。
例年、観覧募集があるのですが、今年は葉書が7万通強、当選者は3千人(1枚の葉書で複数名入場が可能なので、実際の当選葉書はもっと少ないはず)というTVの観覧応募としてはとてつもない倍率です。
スタッフの方は志望動機を丹念に読んで当選を決めていると数年前の当選時にも聞いていたので、今年も1枚の葉書に全霊を籠めて『どうして参加したいのか。どうして今年でなければ駄目なのか』という理由を細かく、でもシンプルに、書きました。
何百枚も葉書を書いても、(その情熱は買うけれど)心を籠めた1枚には絶対に敵わないはず・・・そして、見事想いが通じました。
毎年、コンセプトやメッセージの決定までひと悶着あるのがこの番組。
商業的なところを抜きにして、伝えたいことがある小田和正さんと、どうしてもTV番組として成立させるために計算や打算といったものが捨てきれないTV局側との軋轢、妥協点を見出すまでのやりとりが興味深いところでもあります。
でも、今年は少し様子が違い、”やってみなければ分からない”小田さんのゴールと、それをどうしても”リスク”と感じざるを得ない局側との溝が大きく、VTRを観ていてとてもハラハラしました。
小田さんにしかイメージできていないゴール、それも本人以外の人にどうしても事前に「成功体験」を共有できない、伝えにくいイメージ。
私がきっとマーコム屋としてこんな場面に出くわしたら、『それは、きちんと消費者(ユーザー)に伝わるのでしょうか?私が思うゴールと、小田さんがイメージしているゴールがイコールであるという自信がありません』と言ってしまうかもしれない。
局側のスタッフを納得させられないまま、それでも成功を信じて、ひとつひとつを積み重ねてゆくその姿に、この人はまだ色々な事と闘っているのだな、と感じました。
最後に、『語るべき言葉が、今は見つからない』と言って涙したその顔が、壮絶さを物語っていました。
全てを見届けてなお、私は、”私が見たもの・感じたこと”が小田さんがイメージしていた(そしてみんなと事前共有できなかった)ものと同じだったのかどうか、確信が持てずにいます。
あの時、小田さん自身もそれに自信を持てなかった、もしくは消化しきれていなかったのかもしれません。
小田さんが伝えたかったこと。
明日の深夜、改めてもう一度、確かめてみたいと思います。
マーケティングという視点でなく、純粋にエンターテイメントとして、質の高い音楽番組だと思います。
ご興味がある方は是非、ご覧ください(深夜なので録画するも良し!です)。
TBS 12/25 23:59~ 『クリスマスの約束』