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広告の本質についての考察 - 起業家からの目線にて

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Twitterで議論したり、意見を披露するのは難しい。140文字という文字制限は、自分や自分の感じた事に関するメタデータをタイムリーに発信することには向いているが、情報そのものを配信することには不向きだ。

やはりBlogは必要だと言う事だろう。


このエントリーは、Twitter上で広告の在り方というか本質についての質問をいただいたことへの返事をまとめるつもりで書いている。


僕が起業家あるいは経営者として考える広告は、自分たちの事業を伸長させるための武器だ。競合他社とは違う、自社の商品のほうが優れているということを直接的or間接的に伝えるための戦術なのである。

だから広告とは芸術ではない。広告の作り手の多くは勘違いしがちだが、企業というスポンサーがお金を出して作らせている以上、それは芸術的であっても芸術ではない。あくまで企業が自分たちの事業を優位に運んでいくための武器だ。

もう一度言う。企業にとって、お金を出す側にとって、広告は自分たちの商売を優位に進めていくための武器なのである。

こういうと、広告は販売促進のためだけじゃないという人が出てくるのだが、それも誤解だ。
(販売促進のためだけではないとも言えるが、自社事業を優位にしていくためのモノである以上、営利企業であれば、イコール販売促進のためと言ってもいいだろう)
ブランディングのために広告をうつこともある、という言い方は間違っていない。事実、僕たちは自書の中でマーケティングの最上位概念はブランディングであると書いている。
しかし、ブランディングがなんのために必要なのかという根本的な認識を忘れている論議だ。ブランディングとは自社のブランドを消費者にしっかりと覚えていただくための戦略だ。その目的は消費者に愛してもらうためだが、愛していただいた結果として商品の購買につなげなくては意味がないのだ。つまり、ブランディングもまた販売促進のための(間接的な)方法なのだ。孫子であれば迂遠の計といっていい。


では、営利企業ではない企業、例えば僕がリスペクトしている国境なき医師団を考えてみよう。彼らが広告を出しているのはなんのためか?
もちろんお金儲けのためではないが、お金(寄付金)を集めるためにやっていることは同じだ。
つまり、営利企業は利益を求めるために商品を購入してもらうために広告をうつ。国境なき医師団は寄付金を集めるために広告をうつ。お金を集めるという行為は同じだ。

営利企業イコール営利をむさぼる、というような妙なイメージを持つ人が多いのだが、それもまた間違いだ。
営利企業は商品を販売してお金を儲けて、その結果雇用と納税の義務を果たし、社会に貢献する。そのために多くの企業が市場を作ろうと努力するし、市場の中で競争を繰り広げる。
企業は多くのお金を儲ける事で多くの人を幸せにする。国境なき医師団もまた多くのお金を集めなければ多くの人を救う事ができない。同じ事なのである。


結論を繰り返そう。
広告は企業が自社の事業を伸長させるためのモノであり、ライバル企業に勝つための武器だ。
その目的は基本的に売上につなげる事であり、消費者を喜ばせることではない。売上につなげるために消費者を喜ばせる、というロジックでなければお金を出す側としては納得できないだろう。

少なくとも、近い将来の販売促進につながらない限り、広告費を喜んで使おうとする経営者はいないのである。
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