Twitterを知らないオトナ達へーWebのストリーム化の兆候を見逃すな!
■「Twitter ってなに?」「・・・嘘だろ??知らないの?」
先日、IBMの友人と話していたら、TwitterもFriendFeedFacebookも知らないというのでたまげた(=ほとんど死語だが^^; たまげたとは魂消た、つまり魂が消えた、と書く。それだけ驚いたので、あえて使う)。
まあ、FriendFeedFacebookを知らないのは何となく分からないでもないが、IT業界、しかも外資にいてTwitterを知らないというのはカルチャーショックだった。2008年はTwitterの大飛躍が本当に目についた年になった。オバマ次期大統領はTwitterやFacebook、Blogなどをうまく活用して政治資金をLong Tail的に集めることに成功した。だから、ITの視点というより、社会の動きを見る上で、ネットが政治や経済を確実に動かし始めていることや、インターネットのソーシャルサービスが現実の世界を広範囲につなぎ始めていることに注目するのは、今後のビジネスパーソンにとっては必要なことだと思っていた。
まあ、IT企業といってもSIやコンサルティングが事業領域の企業とネット主体の企業では、そもそも必要知識の体系が違ってしかるべきだから、冷静になって考えればそれほど驚くにあたらないのかもしれないが。
しかし例えばサイバーエージェントやオプトなどであればどうだろう?少なくともネット企業にいてTwitterを知らない社員がいたら、経営陣は少し自社の運命を気にした方がイイ。
■Web2.0の次の"流れ"を加速させたTwitter
インターネットの進化の歴史の中でいくつかのマイルストーンを挙げるとすれば、
まず90年代全般にYahoo!を始めとするポータルが、ネットの利用を促進し、
つぎに90年代末に登場したGoogleが検索エンジンを再定義して、ネットの利用効率を劇的に変えた。
そして、2003年頃から台頭したBlogやSNSがネット上に情報をアップすることへの参加障壁を一気に下げたことで、より多くの人がネットの積極的ユーザーとなった。また、Blogは、記事(情報)一つ一つに固有のパーマリンクを与えることによって、検索対象をサイトからページ、ページから特定の情報そのものへと変えた(これにより、ネット上の情報粒度が細かくなった)。
いまや特定情報に対してパーマリンクを充てるというのは近代的Webサイトの基本中の基本であり、Blogのみならず、多くのWeb2.0的サービス/メディアがこの手法を採用している。(←ここ、重要!新聞サイトにパーマリンクを使っていないところもあるのが残念だ)
Twitterは、実は次のマイルストーンに数えられるサービスである。
これはどういうことかというと、Webを”サイト”という静的な固まり、場所的あるいはリスト的な概念から、”ストリーム”という動的な流れ、時間的な概念であることを、明確に示しているからである。
■ Twitterとその”部分的”フォロワー(or クローン)に主役の座を奪われつつあるBlog
Blogにもそもそも、この感覚はあった。エントリーを時系列順に表示しているのはそのためだ。
しかし、Blogはそれ以前のWebサイト、という概念からは完全に脱却しきれてはいなかった。普及が進むにつれてBlogには余計な機能が付加され、ツールとして重くなり、流れを作ることよりも場を作ることへと変わっていく。Twitterは、そこに着目して、Blogのエントリーよりもさらに小さく細かい情報単位での投稿=140文字制限という不自由さをユーザーに強いることで、より多くの情報のWebへの流入を担保した。時系列順に情報を表示するためだけの機能にフォーカスすることで、かえって多くのユーザーに受け入れられたのである。
このストリーム、という考えは、ライフログやライフストリーミング、あるいはアクティビティストリーミングなどという呼び方で広まり始め、SNSの世界ではFacebookがNews Feedというサービス(参加者のアクティビティを時系列順に表示)を採用したことで注目を浴びる。その後Google Readerも集約した記事のストリーミング機能を実装し始めたし、Google OB(Xoogler と呼ばれる)が始めたFriendFeedなどが複数のソーシャルサービスにまたがる自分の活動履歴を一本化するサービスを始めることで、いよいよこの”ストリーム”という概念こそがWebのこれからの潮流であることが明確になってきた。
■ 最もスムースかつ広大なストリームを作り上げる者が次世代Webの王者へ
これらの動きの端緒こそがTwitterなのである。そして、Twitterが重要であるというよりも、非常に細小な粒度の情報群をリアルタイムで世界中に伝達しまくる仕組みと、その概念=ストリームのあり方(ここではTwitter的要素といおう)を世界中のソーシャルサービスがフォローし始めたことが重要なのである。
もう一度いう。Twitterが重要であるというよりも、Twitter的要素の広まりが重要なのである。
2009年、この動きはますます明確になっていく。
日本では、残念なことに冒頭で話したように、本家のTwitterでさえいまだ存在価値が低く見積もられており、Webはいまだにサイトであり、ストリーム化への動きは小さい。しかしそれでも、Blogが台頭してきたときに「日本はBlogより日記」と話していたサービスもほどなくBlog化したように、結局はストリーム化を選ばざるを得ないはずだ。
GoogleもTwitterクローンであるJaikuを買収したり、Google Readerの情報ストリーム化を急いでいる。また、密かに別プロジェクトを計画しているという話もある。
モディファイにおいてSMARTに相当の経営資源を割いているのもこの分野での今後の激戦に備えるためである。
クラサバからクラウドへ。 PCからスマートフォンへ。 サイトからストリームへ。
次世代のWebとリアル社会の融合は、この3つのベクトルで動いていくだろう。
僕の予言、と思ってもらってかまわない。数年後にこのエントリーを見直すことが楽しみである。