Google Baseは全てのマッチングサービスの脅威となるか?(Web2.0の非技術論的考察-3 )
Googleが「Google Base」なるサービスの公開を準備しているとのニュースが駆け巡っている。
このサービスは技術的に見ると一種のデータベースである(Web Based RDBとでも呼ぶか?)。Web2.0は、Blogやソーシャルブックマーキング、タギングなどによって情報連携が進んだ後に発現する、データベース化されたインターネットのことであるとも理解するが、Google Baseはこの動きに沿うもの、あるいは独立独歩で進んでいくかは別にして、強い意思を持ってこれを実現しようとする動きだと考える。
そして商業的に見た場合は、(様々なメディアが伝えるように)eBayや日本におけるKakaku.comのような情報の比較検討やマッチングを行うサービスの事業モデルを直撃する可能性がある。マイクロペイメント代行サービスの投入も囁かれるが、これがなった場合には、楽天やAmazonのようなECサイトにも多大なダメージを与えかねない。
どういうことかというと、推測するにGoogle Baseは、
- 誰もが簡単に、好きな情報を、シンプルなフォーマットで
データベース化してWeb上にアップできる。
これはBlogのようなテキストコンテンツが主ではなく、
価格情報や求人情報、商品カタログなどのフォーマットと
してはStatic(静的)だが、データ自体はダイナミック
(動的)に変動するケースに最適化される。
- 更に、それらの情報は一般に公開され、Googleの
検索によって誰でも簡単にたどり着く。
だからポータルは必要なく、欲しいモノ、見たいものを
ただ検索してもらえばいい。
- それぞれのサイトに小口課金システムをGoogleが
提供すれば、そこですぐに買い物ができる。
- フォーマットは自由だから、出会い系サービスも
転職斡旋も、商品価格比較も、オークションも
ネット通販も、全てできる。(但し、大量の商品を
一気に並べていく形には向かないと思うが)
Google Baseは多分利用は無料で、そこに広告を出すことによって収益を上げるのだろう。となると、手数料収入で収益を得るタイプの事業モデルに対して、非常に厄介なサービスとなり得る。Googleは他のそういった事業者を駆逐したいとは思っていないだろうし、結局そうはならないと思うが、それでも情報のマッチングによって収益をたてる事業者の成長や新規参入を妨げる存在になることは間違いない。
僕自身は、Feedビジネスの一つの可能性として、
- Webサイトを持たない、Feed Onlyのメディアの出現
(HTMLメールに似ている)
- 例えば商品情報があり、課金システムへのクリック
ポイントを持っている。
- これによってFeedリーダー上で得たFeedから直接
購買ができる。
という次世代のFeed Based Eコマース、があると考えている。
Google Baseは、Feedではないかもしれないが、このモデルによく似ており、AdSense/AsWordsのようなマイクロアドバータイズメントシステム(小口広告)と同質の、マイクロメディア with マイクロペイメントシステムの可能性を持っていると考えるのである。
つまり、Googleの存在そのものがMSにとってのOS戦略を揺るがす、ネットワークOS的な脅威であるとすれば、Google BaseはECやSNS、オークションサイトなどを含む、(独自のデータベースを有する)あらゆるマッチングサービスに対するネットワークDB的な脅威になってくると思う。
[追記]
AppleがiTunesの直接的ライバルが無料系P2P、KazaaやBitTorrentであることを認める発言をしたそうだ。僕はGoogle Baseもまた、iTMSの脅威になると思う。iTMSがAmazonに近い機能を持ち始めたように、様々な異なるオリジンを持つサービスやシステムが、Web2.0 と銘打たれたフィールドに集結し、イニシアティブ争いを激化させていくはずだ。
[追記2] 2005.10.30
EPIC2014に出てくるGoogle GRIDって、まんまGoogle Baseだ。
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