人というものを理解していないならビジネスを理解していない by Simon Sinek
「人というものを理解していないならビジネスを理解していない」と熱弁するのは、Simon Sinek氏。彼は政府、企業、軍隊などのリーダーと共に働くオピニオンリーダーであり、売れっ子作家です。
Sinek氏は、カンファレンスの中で、熱弁します。
人はソーシャルアニマルであるから、他人を助ける事によって気持ちよくなれるように本能的にプログラミングされている。それはコミュニティーを強くしない限り人類は生き残れないからだと言います。コミュニティーも国家も企業もどれも共通の信仰や価値をシェアしている組織であり、その中には信頼がある。誰か一人が失敗したら、その他が助ける。その信頼でリスクを背負って何かに挑戦できる。これがコミュニティー、国家、企業の本来あるべき姿だと言います。
ところが、人も企業も、全て自分自分自分となっている。なぜ、「金持ちになる7つの方法」や「成功するための10のステップ」等という本が沢山あるのに、「自分の隣の人を助ける5つのステップ」や「隣の人を幸せにする7つの方法」という本はあまり見かけないのか。
なぜ、90%の人が仕事にやりがいを感じていないという統計があるのか? それは、仕事のせいじゃないし、給料のせいでもない。人が人を助け合わなくなったからだとSinek氏は言います。もし朝起きて、今日も誰かを助けるという感覚が仕事にあれば、どんなにやりがいを感じるだろうか。そういう考え方で仕事をしたくはないか? そういう考えを全ての人がもっていれば素晴らしくないか?
ホームレスがお金を恵んでもらう時、彼らにあげる事によって得られる気持ちよさをホームレスは販売しているのだとSinek氏は言う。そこでSinek氏は実験を行う。1日$20をもらっていたホームレスのアプローチ方法をかえるだけで、それは何倍にもなる。例えば、お腹が空いているという変わりに、「もしあなたが1ヶ月に一度ホームレスにお金をあげるなら、次の機会に 私の事を少しでも思い出してくれれば嬉しい」このメッセージを掲げた事で、2時間で$40を稼ぐ事に成功した。 彼女のメッセージは、「毎回ホームレスにあげられない事もわかっている、ただ自分は本当にお金が必要だから、あなたが誰かにあげるその時までここにいますよ」というもの。これは、道行く人がホームレスにお金をあげない時の理由や心理を考えて先手を取る事で同じ考えを持っているという親近感や説得力が生まれる。結果、信頼が生まれる。 もちろん、これはGive and takeではなく、今まで同様にただのTake。どのオプションを取っても、そのホームレスは人から一定のお金を貰えただろう。しかし、今までと違う所はGiveする側を尊重し信頼を作った事にある。これが別の結果をもたらす。企業というのも全く同じだとSinek氏は言います。
自社の商品は他者より速い、かっこいい、さらに便利になる。これはGiverに押し付けるだけの、ただのTaker。どんなに商品が良くても、どんなにマーケティングが素晴らしくても、信頼が生まれる関係を作れない人は、人というものがどうあるべきかを知らない。
人がどうあるべきかを知らない人はビジネスを知らない。
ビジネスでも人間関係でも確実な方法は存在しないかもしれないが、ただ一つ確実な事がある、それは「顧客も消費者も従業員も100%、いつも人間」という事。
Sinek氏あっぱれ。興味深いのでシェアします。