ネットの論理はやっぱり違うのか
先週金曜日に、salesforce.comのイベントに参加した際、同社のマーク・ベニオフCEOが、自社のビジネスの強みをなぞらえるために「ロングテール(長い尾)現象」という言葉を紹介していた。
簡単に言えば、ネットの世界では、「売れない商品が稼ぎ頭である」という理論だ。だれがこの構造を作ったかといえば、アマゾンだという。研究者による推定として紹介された統計値では、「米アマゾンの本の売り上げの半分以上が、販売部数ランキング4万位から230万位という下位商品で構成されている」というのだ。
これは、在庫に関する考え方が根本的にリアルの世界と異なっていることが要因になっている。つまり、従来のリアル書店では持てなかった「売れない本」も、ネット書店なら簡単に並べることができる。
個人的には、検索の容易さも手伝っていると思う。人から聞いたマイナーそうな本も、Googleに打ち込んですぐに発見し、そのまま購入、所要時間は1分ほどといった経験を何度かしたことがあるが、それなりに感動する。
ロングテールの反対概念として紹介されたのが「80:20」の法則だ。ご存知の通り、「売り上げの80%は20%の商品から」というもの。印象としては、80:20の法則はかなり神通力を持った考え方として多くの人に浸透している。そこに登場したロングテール理論が、ビジネスマンの意識にどこまで入り込んでいくものかを考えると少し楽しみだ。
●ITとは関係ない話
先週、有楽町のあるビルの1階に入っている、やや場末感のあるブティックの店頭ワゴンで、Yシャツが売られていました。上には「クールビズ対応」の張り紙。急に確かめてみたくなり、商品を手にとって見るとやはり普通のYシャツ。おそらく、張り紙がなければ目に止めることすらなかったと思うと、やはり、「これもマーケティング効果か」と意味もなく納得したのでした。