今おもしろいもの――ブレードPC
デスクトップ、ノートPC、タブレットなどなど。PCにはたくさん種類があるが、文字通りパーソナルな用途を追求するべく、ここまで普及してきた。
だが、このパーソナルなモノをそのまま組織に導入しようとした結果、皮肉にもPCは組織におけるブラックボックスになった側面がある。PCの盗難による個人情報の流出などの事故は、個人と組織の切り分けをあまり考えなかった、あるいは、技術的に切り分けることができず、個人向けの製品を組織の中で使ってきた結果として起きたと言えなくもない。
組織と個人の切り分けをよりはっきりさせたコンピューティング環境を提供するという意味で、ブレードPCがおもしろい存在だ。文字通りブレードサーバのPC版といえる。ブレード状のPCをシャーシに差し込んでマシンルームに設置し、100人、1000人というユーザーを集中管理することができる。すべてのPCを管理者の意図に沿って設定できるため、PCのブラックボックス化を避けることができる。
先日、ブレードPCを導入した病院のシステム管理担当者を取材(記事)した。やはり、ブレードPCでは、不正にデータをダウンロードされることがないなど、集中管理していることによる安心感が強いようだ。まだまだ、端末の購入コストは通常のPCと比較して高くつくようだが、セキュリティ面に加え、ユーザーサポートの負担が楽になることなどを考えると、トータルのメリットは享受できるのかもしれない。
一方で、懸念があるとすれば、集中管理をしているために、ひとたびシステムが落ちてしまえば、全員のPCが止まってしまう点だ。これについては、2重化などのいわゆるディザスタリカバリの仕組みを導入しておく必要がある。
企業向けだからといって、PCがあまりにも業務用オンリーになるのは少し悲しい気もするが、病院や金融機関をはじめ、そうも言っていられない業界や企業もある。組織と個人の間にある境界線を、より明確に引く手段の1つとして認識しておいてもいいのではないだろうか。