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通信業界特殊偵察部隊のモノゴトの見方、見え方、考え方

ファーストサーバの事例に見る「自分はインフラである」という自覚の有無

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四半世紀以上前、データセンターの営業として社会人生活をスタートさせ、その後宣伝やらプロモーションやらも経験した私として、あまり他山の石と傍観できないのが例のファーストサーバのデータ消失の話。技術的な検証や補償に関する話は進行中ですから多くの事を語る必要は無いと思うのですが、とりあえず本籍地はマーケティングと今でも信じている自分として思うところというのはあります。流石にあります。色々あります。別に誰を弁護するとかそんな気は全く無いんですけれど。

 

何かを100%と謳うのは悪魔の証明を必要とする

どのような種類のモノであれ、100%の完全性を謳うことはそれを立証する必要があると私は考えています。ただし100%では無い事を立証できないと反論も出来ないわけで、この部分は倫理観が支配するものだとは思います。ただ、たとえば今回の事例のようにネットワーク上で提供するサービスに対して、たとえそれが何であれ100%を謳う時点で不誠実であると私は思うんです。

もちろん100%と宣言するに足りる何かを本当に証明できれば構わないのですが、数限りない機器とネットワーク、そして必ず間違いを起こす「人」が関与する余地があるクラウド系サービスのようなモノに対して100%を宣言する事が本当に出来るのか?と問われたとき、少なくとも私はどういう立場であれその対象に関与しているのであれば「無理です」とはっきり言います。

これはあくまでも自分自身に対する信義の問題であり、ビジネス上やら何やらの関係でそう言わざるを得ない場合、そういう立場にいる場合には自分を騙してでもそうするかもしれません。残念ながらそこまで私は強くない。でも、基本的なところで「それはできません」というキモチを捨てることは出来ない人です。

 

何かが謳う100%を信じることは悪なのか

これはそれを判断する人の価値観や背負った条件、そして相手に対する信頼の度合いに寄るでしょうから、一概に悪であると言い切るのは難しいかもしれません。ただ、どこまで納得したかは別にして例えば「100%の信頼性を実現」と言った謳い文句を受け入れた時点で実は有形無形のリスクを背負ったと理解するべきじゃないかと思います。

もちろん見た目上でシステムが止まっていないような見せ方をできるサービス設計は不可能ではないし、そういったシステム運用も不可能ではない。ただし、本当のところどうなのかという事をキチンと評価した上で判断していれば良いのですが、とりあえず謳い文句を鵜呑みにし、結果的に「きっと大丈夫だよ」という判断がなされたとすると、いざ事が起きたときに取り返しがつかないわけです。

もちろんそこには提供者側の責任はあります。
ただしユーザー側にも(どう言い訳しようが、あるいはどう文句を言おうが)一定の責任が常にある事は間違いないわけで、それを忘れて例えば「コスト激減だぜわーい」と飛びつくべきではないと思うんです。自前のシステムがエライ訳では無い。でもネットワーク上で提供されるものが全てを解決し全ての手間から解放してくれるものでもない。これは絶対に忘れるべきではないと思うんです。

 

何かを100%と謳うことはマーケティングのプロとして悪なのか

因みにシステム的なこと、あるいは経営的な観点からのコストやら何やらの話とは別に、ここにもうひとつ、マーケティング的なところで考えるべき事があると思うんです。これが冒頭に書いたように私がマーケティング屋として思うところの根幹なのですが… 誰が何と言おうとネットワーク上で提供される何かの100%の完全性を謳った時点でマーケティングのプロとしては失格だと思うんです。変な言い方ですが、本当にそれを言いたいとしても必ず何か逃げ道が無いとサービスを利用しているお客さまを、自分自身を、企業自身を、グループ企業全体を、そして状況によってはプロモーションの発注をしたクライアントを追い詰める事になります。そして、現実に今現在そういう事象が進行しているわけです。

悪魔の証明が必要なモノを振りかざすべきではないし、悪魔でも証明出来ない事を要求されたら体を張って別の言い回しにするなりアプローチにするなりといった事をやらない限り、マーケティングのプロとしては失格だと思うんです。

でも、そんな事を言っても上から、あるいはクライアントからそういう事を要求されてるんだったら仕方無いでしょって? でも、それに対して闘っても駄目で本当にそれを避ける事が出来なくて、それでももし自分に誠実でありたいなら… あまり無理な、あるいは無謀なオプションを考えるべきではないとは思うのですが、まずは自分の問題として諸々どうするかを見つめなおすチャンスなのかもしれません。いや、軽はずみは駄目ですよ。勢いに任せてってのも駄目ですよ。絶対。

 

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