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その「なんて」が、切り捨てているものについて

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個人事業からWeb制作の会社を起業した1999年当時、インターネットの情報「なんて」誰が信用するのか、と言われた回数は計り知れません。

そう言われても、ホームページが提供してくれる様々な体験は自分にとって明らかに興奮する出来事でしたし、自分の能力を拡張してくれるものだと確信していたので、なんだかんだで27年会社を続けてこられたのだと思います。

その他にもデジカメ「なんて」、スマートフォン「なんて」、アマゾン(ネットの本屋)「なんて」、仮想通貨「なんて」、電気自動車「なんて」などなど、様々な「なんて」に接してきました。

そして2026年、バイブコーディングもバイブコーディング「なんて」と言われていますが、Web制作を知ったときと同様に、自分の能力を拡張してくれるレベルがより大きくなっていると実感しています。

ここに1枚の古い株券の写真があります。

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これはアップル社が低迷していた時期に、アップル社を支援しようという運動をネットで見かけて、当時日本円で3,000円ほどを手に入れたアップル社の株券です。株券にはわたしの名前が印字されているのがご覧いただけると思います。

その当時、大多数の人々はアップル「なんて」と考えていたと思いますし、その後のiMacの発売など知るよしもありませんでしたが、当時は音楽制作などでもMacを多用するなどアップル製品から恩恵を受けていたので、寄付するつもりでお金を振り込んだと記憶しています。

当時の表面的な情報からすると、大半の人がアップル「なんて」と考えるのは合理的な判断だったはずですが、この3,000円の寄付が現在幾らの価値になっているかをわたしはいつも考えています。

「起業は数日でできる時代へ」

エンジェル投資家でAll-Inポッドキャストの共同ホストでもあるジェイソン・カラカニス氏がゲスト出演しているYouTube番組を見る機会がありました。

そこで彼は「起業は数日でできる時代へ」と語っています。

彼はパリに滞在中、時差ボケで眠れなかった夜に、$12でポッドキャストプレイヤーを自作したそうです。そして

誰もやっていなかったので自分で作りました。あと2週間かければ100ドルで売れる水準になります。

と語ったうえで企業であれば、昔はアプリ会社を1社作るのに200〜300万ドルを調達し、チーム12人体制で1年半ほど挑戦する必要があった。今は同じ規模の会社を1〜2人で作れて、1〜3ヶ月あれば製品が機能するかどうか手応えが分かると、彼は言います。

つまり、$12で個人が夜中に思いつきを形にする話と、200〜300万ドル規模だった会社作りが1〜2人でできるようになった話は、規模が違うだけで地続きになっています。

彼自身はバイブコーディングという言葉を使っていませんでしたが、自分自身のここ数ヶ月の経験から、この話の実現にはバイブコーディングという概念は必要不可欠だと考えています。

加えて、以前にも紹介したBase44の事例は、まさにこのカラカニス氏の話を裏付けていると思います。

Gift My Bookは、数人の友人によるサイドプロジェクトとして始まり、外部エンジニアに依頼した従来型の開発では数ヶ月かけても進まなかったものを、Base44に切り替えて約1週間で最初の動くプロダクトを完成させています。その後、100ドルの広告テストで需要を即座に検証し、3ヶ月未満でARR100万ドルに到達しました。少人数・低コスト・短期間で手応えを確認できる、というカラカニス氏の話とそのまま重なる事例です。

少人数経営という選択肢

バイブコーディングにより新規事業への取組ハードルが下がることのメリットは前述の通りですが、同時に、新たな収入確保の道筋を示してくれていると考えています。

具体的には、従来と比べて圧倒的に少人数でビジネスを回せるということは、自分のような60代のシニア世代にとって、定期的な収入を確保する新しい選択肢だと考えています。

現在AIは長期記憶を利活用することが苦手なようです。この領域は自分自身の経験が価値の源泉となります。自身の30年、40年の知識・経験をサービスとして提供しつつ、会社組織として対応が必須な定型的な業務は可能な限りAIを活用するのが必須だろうと考えます。

この観点についても、現代の会社経営で必要とされるSaaSサービスを書き出したことがありましたが、Base44限定ではなく、ご自身が使いやすいと思うバイブコーディングツールを経営に取り入れることで、本当に自分が使いたい機能だけを金銭的な負担を軽減しながら実現させることが可能になるはずです。

1999年当時とは、Web制作の手法が大きく変わっていて、起業した当初のスキルだけで生き残ることはできません。

また、技術だけでなく、大学編入から社会人大学院に入学しての経営管理の学位を取得することで得られた様々な知識・経験も大きな財産になっています。

ただ優れた技術があれば、勉強すれば、持続性が約束されるのかというと、それも話が違います。ましてやバイブコーディングしたから事業が成功する訳でもありません。つまり、2026年に起業した事業をどうやったら30年続けられるのかはご本人の正しい努力があればこそ実現することなのだろうと思います。

結論として、最近流行の1人社長や、若年齢での個人起業をそこまで積極的にお勧めするつもりはありません。

ただ、日本で会社を経営する場合、社員数が10人を超えると様々な制約が大きくなっていきます。できるだけ負担を軽減した少人数経営を成立させるためには、バイブコーディングというより、AI活用そのものにかなり積極的に取り組む必要があることは断言して良いと思います。

ブラウザの外で動くアプリ、という違い

バイブコーディングに関連した起業や収入の話をしてきましたが、正直、こういう話題自体に興味がない方もいると思います。サラリーマンとして安定して働きたい人にとって、少人数経営やピボット(既存事業をやめずに、事業の柱や方向性を転換すること)の話は興味がない話題だったかもしれません。

唐突ですが、バイブコーディングで作るモノってやはり大半はPCやスマホのブラウザで動くものをイメージする方が多いと思うので、もう一つだけお伝えしたいことがあります。

base44はブラウザ上で動くアプリを作るツールです。一方でClaude Codeを使って、自分のパソコン上で直接動作するアプリも作ることができました。

Web会議が一般化しましたが、ゲストとして参加するWeb会議は機能が制約されているケースも多く、なかでもブラウザから参加するTeamsは、自分にとって一番避けたいWeb会議ツールのひとつです。

他方でZoomの書き込みツールは高機能ですが、ツールの切り替えが不便だったりで、一番のお気に入りはシンプルなSlackのハドルミーティングのアノテーション機能だったりします。

この手のツールを検索したところEpic Penをオススメされたのですが、時間で消える機能を利用しようとするとサブスクリプションが発生します。その他にも複数試してみましたが自分の感覚にフィットする操作感のソフトウエア、アプリを見つけることができませんでした。

最終的に、起動するキーを指定できて、画面に描画してしばらくすると自動で消えるペンツールを、Claude Codeで作ってみました。名前は「ScreenInk」。誰かに頼んで作ってもらったのではなく、欲しかったので自分で作った、というだけのものです。

これは非エンジニアにとって本当に画期的なことです。

HTMLを書いて自分が意図したことがブラウザで表示されたときにも興奮しましたが、まさか自分(実際にはClaude Codeですけど)でPCで動作するアプリを作れる日が来るとは夢にも思っていませんでした。

「なんて」のその先へ

市販のソフトを使っていて、ここが使いにくいな、と感じることは誰にでもあると思います。

わたしはWindowsの画面の拡大率が100%の次が125%であることに常々不満を感じていますが、この不満を解決する方法は現在まだ見当たりません。

ですが、今日紹介したように、内容によってはその不満を自分自身でケアできる時代になりました。

この「自分で小さく改善できる」という感覚は、精神衛生面において、これまでとは比べ物にならないほど健全なことだと感じています。

懸念される点としては、Claude Codeを社員に利用させている会社が、社員が自分で作成したアプリを一律利用禁止にすることはないと思いますが、参加しているプロジェクトの開発では利用できても、自分自身の課題解決に利用可能なClaude Codeを利用できない場合はあるかもしれません。

バイブコーディングについて指摘されている問題、懸念点を否定するつもりはありません。

ですが、今日紹介してきた様々なエピソードを踏まえ、○○「なんて」という思考プロセスが、最終的に自分に与える影響がどのようなものになるのかを、考えてみる必要はないでしょうか。


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