SIB(社会貢献型の投資)
地域医療連携というテーマは、長い間医療システムにおけるテーマであり続けており、今後も益々関心が高まっていくと思います。
ですが、かれこれ10年以上に渡って様々な地域医療連携プロジェクトが行われてきましたが、うまくいった、もしくはうまくいっているという話はなかなか聞きません。
そして多くの(ほとんどといってもいいかもしれませんが)プロジェクトがうまくいっていない原因として挙げられるものがその運用の持続性です。
つまりは、最初は国の補助金でなんとかやりくりするものの、補助金が途切れた後のその仕組みを維持管理するための資金不足で活動を維持できないという問題です。
中には参加医療施設から会費を集めて運営を継続しているケースもあるようですが、参加医療施設が会費を払ってまで参加を継続するモチベーションの維持に苦労されているようです。
これらの試みに費やされた補助金の累計額は相当な額になっているということと結果がほとんど出ていないことを合わせて考えると、何たる税金の無駄遣いという話ですので、国民はもっと怒ったほうが良いかもしれません。
先日当社の米国での医療連携プロジェクトに関わった社員が来日した折に聞いた話として、米国の連携プロジェクトも当初は、連邦政府あるいは州政府が何等かの補助金で支援するということは普通に行われているとのこと。
但し、ある程度プロジェクトが軌道にのると(2,3年くらい)それ以降の維持費は、その地域の有力企業あるいは医薬品メーカーが資金提供してくれているということでした。
健康保険制度が違うので、これをそのまま日本に導入できるわけではありませんが、つまり医療連携で地域全体で医療費の無駄が削減できてその結果医療費が下がれば、誰が一番得をするかと言えば、従業員の保険料を民間保険会社に支払っているその地域の大企業ということであり、地域全体の様々な医療データが蓄積されることで、それを新薬の開発や治験の効率性に役立てることができるのが医薬品メーカーということになります。
これを日本に当てはめて考えると一番得(コスト削減のメリットを享受できるのは)するのは、結局の所、国ということですが、財政が厳しいおりなかなか大盤振る舞いができない現状がありますし、長い目でみて持続可能にするためには何等かの形で民間の資金を活用することも必要でしょう。
そう考えるとこのSIBという仕組みは、地域連携プロジェクトに適用できれば、すごい有用ではないかと思います。