女性にハイヒールやパンプスを強制する職場があることに関し、根本匠厚生労働相は5日の衆院厚労委員会で「社会通念に照らして業務上必要かつ相当な範囲」と述べ、事実上容認する考えを示した。ネット上で反対活動が広がっており、発言は「」。
女性の職場でのヒール着用 「業務上必要かつ相当な範囲で」
(前略)
根本厚生労働大臣は5日の衆議院厚生労働委員会で、「署名を受理した。一人一人の労働者が働きやすい就業環境の整備は大変重要だ」と述べました。
そのうえで「それぞれの業務の特性があるので、社会通念に照らして、業務上必要かつ相当な範囲でということなんだろうと思う」と述べ、社会通念に照らして、業務上必要で相当な範囲にとどまるべきだという認識を示しました。
仕事で、パンプスやヒールの着用を強制するなんてなんてひどい と憤るのも分かりますが、結婚式場とか高級レストランとかフォーマルな場所で社会通念上、ドレスコードがあってカジュアルな服装や靴が憚られる場も確かにあります。制服が規定されていて靴についても規定がある職場も多いでしょう。
そういう一方で、伝統的にフォーマルな服装が当然と考えられてきた、旅客機のキャビンアテンダントが、ポロシャツやスニーカーといった服装も広がり始めています。LCCとかカジュアルな飛行機が増える中で動きやすくて疲れにくい服装という実利が徐々に理解され認められ始めているわけです。
「働きやすい服装や靴で働けるべきである」
という万人が同意できる命題がある一方で、実際のところ、
「仕事の性質上、必要とされて服装とか靴に制約がある職場も中にはある」
という命題もこれまた多くの人が認めるところでしょう。
様々な規範や、社会通念がある中で、徐々に社会が変わり、行政としては、労働者の働きやすさは推進しつつ、ケースバイケースでままならないケースもあるという現実も理解されるところでしょう。
共同通信は、「波紋を呼びそうだ」というありがちな結びで問題提起したつもりでしょう。とはいえ、社会通念があってドレスコードを守らねばならないケースもあるという理解もしているはずです。
「波紋を呼びそうだ」論法が通じない、見出しで脊髄反射されるネット時代に求められる報道のありかた
波紋を呼びそうだという表現は、ネット以前の時代には便利な表現でした。問題提起として、エクスキューズがあって、多少の誤解も問題提起と言えたわけです。一方、見出しだけが元で拡散されるネット時代にあっては、見出しが誤解を招いた反動として「マスゴミ」「捏造報道」といった反響を呼ぶ元となります。
働きやすさは優先されるべきとTPOをわきまえたドレスコードがあるという2つの常識が実は矛盾もはらむ、そんな問題提起をされるといいのですが、ネットの時代にソーシャルなネットワークは分断されて、政権への反対派と賛成派が分断された状態でそれぞれ罵り合う素を作ることにもなります。
問題提起だから、という言い訳で意図的な報道(=スピン)をなるべく避け、事実を素直に伝える努力を一層強めるようマスコミは考えと行動を改めて欲しいそう願います。