上司や同僚との関係に悩む人必読の良書「おとしどころの見つけ方」
上司や同僚、恋人といった利害関係がある人との付き合い方がきっと変わる良書です。まだ、実践できたわけじゃないので「きっと」とつけましたがが、通読して、交渉のやり方やコツが理解できたように思えるし、困ったらこの本、「おとしどころの見つけ方」に助けてもらえるかもという期待をしています。
本書は、サエない会社員が、「交渉」で困った都度、謎の宇宙人から助言をもらい、助けられながら、おどしどころの見つけ方を学ぶという作りで、漫画も交えてわかりやすく書かれています。小さな成功を積み重ねながら交渉のコツが身につけていく主人公にあわせ、読んでいる自分も交渉のコツを理解できるので、自分も成長できている実感が持てます。
ここでいう「交渉」とは、値切るとか、言い負かすとか、そういうときだけの話ではありません。なにか決めるとか、話し合うとかしている毎日の仕事や生活の中にある、話し合いを対象としています。
この本が取り上げたポイントの例:
- 「人間」と「問題」を切り離す
- 相手の「本音」たる一番大事なポイントを探る
- 立場と利害に注目する
- 複数の取引条件を準備する
- 仕事仲間は友人ではなく、ワーキングリレーションシップである
- 成果のために多少のきまずさが必要
- 最も望ましい代替案(BATNA)を考える
- 一社決め打ちを避けることで最適解が広がる
- 事前に話し合いの流れを考えて「地図」を作る
- プレッシャーはあいまいにかけて、手の内をさらけ出さない
- 敵と味方の区別をせず、勝ち負けで考えない
- 総論賛成で盛り上げて、合意形成に近づける
ポイントだけ列記するとなかなか読みづらそうに見えそうですが、そのようなポイントが、具体的な例を交えて書かれており、ポイントを宇宙人から助けてもらうという印象に残る形で書かれているのでよく分かりました。
その具体的な話は、上司との交渉、プロジェクトチームを回す上での同僚との会議、恋人との旅行のプランニング、引っ越しでの相見積もり、同窓会の企画調整っといった身近な例であり実感を持って読み進められました。
とはいえ、この本を読んだからといって簡単に交渉のコツが掴めていきなり達人になれるというわけではない、と著者も説きます。実際いきなり人は変れないとは思いますが、基礎が何かを知り、困ったら、主人公が宇宙人に助けてもらうように、自分もこの本に当たって、日々の仕事やコミュニケーションに活かせそう、そんな実感が持てました。
本書に欠点があるとすると、漫画や会話にアイコンを使うなどデザインが凝っている関係でスマホのKindleで読みにくそうという点です。
紙の本かタブレットで、是非一読し、手元に置かれることをお勧めいたします。