フィリピンの避難所は進んでる?日本アゲ➚サゲ➘ バイアスに気をつけろ!
ネット上で、「フィリピンの避難所はプライバシーが確保されていて進んでいる。日本と比べてこっちが先進国だ。」というような話が台風22号を巡る報道を元に一部で広がっています。元になったと思われるTIMEの記事がこちらです。
一流雑誌の記事だし、日付も入っているしと信用し、この記事の印象からフィリピン進んでる、日本遅れていると 広めたくなるのもわかります。
しかし、この記事、単に何千人物人々が台風で避難している ということだけ書いており、このかっこいいプライバシーが守れるしきりがフィリピンでは標準だなどと書かれるどころか記事中では一切触れていません。また、記事の動画の中で紹介されてる避難はこのようなよくある景色です。
冒頭の避難所の写真はどこのものなんでしょうか?また、フィリピンではこういう仕切りつきの避難所が一般的なんでしょうか?
Twitter上の情報
導入した町(マニラ首都圏内の低湿地で洪水多発地帯)も、買ったのは高々500セットか。今後増やす予定らしいが。
-- btyksn (@wool_blankets) 2018年9月16日
"The city government of Marikina purchased some 500 modular tents for use at evacuation centers during disaster and emergencies. "https://t.co/ifAyFGKhqs
によると、最初のブルーのテントは、フィリピン近郊のマリキナ市で500個用意されたモジュール型テントのようです。
Marikina's modular tents, disaster response efforts earn praises
500個であっても素晴らしい取り組みと称賛を受けているという記事でした。
実は日本でも避難所でプライバシーを確保しようという取り組みは行われているようです。 避難所に間仕切り設置 プライバシー確保 また、ブルーの間仕切りは2011年にも報道されているようでした。(時事通信、東日本大震災での釜石市の避難所、らばQでの引用)すくなくとも、フィリピン同様一部ではこういうプライバシーが保たれる避難所が日本にも存在するとは言えそうです。
今回の騒動から2つの教訓が得られました。
教訓1:海外の報道は写真の選び方が「雑」で時系列や文脈が違う写真が選ばれることが多いので要注意
「写真はイメージです」と注意書きなしに、イメージ写真が選ばれて誤解や混乱をするケースが、特に海外報道ではよくあるようです。似て非なる別の写真がイメージづくりに使われていたりと。今回の報道では、フィリピンでの避難所の写真という点では恐らく間違ってはいないのですが、一般的なフィリピンの避難所風景 という誤解釈をして、それが話題性があるゆえに拡散するという結果になりました。このことはもう1つの教訓に繋がります。
教訓2:日本アゲ➚サゲ➘バイアスに気をつけろ!
日本の新聞が左右の陣営に別れて論説するようになり、ソーシャルメディアでも陣営に分かれるかのように日本アゲ➚や日本サゲ➘の話題がよくなされています。この日本アゲやサゲの話題はより広まりやすいので注意が必要です。
このアゲサゲの話題が広まりやすいのは、日本のことはよく知っている という前提があり、そこと違う海外の事例を見て日本をアゲたりサゲたりしたくなる気持ちを持ちやすく、また党派性からのバイアスで思い込みが強まりやすいからでしょう。
自分は案外日本のことを知らないし、右派だからアゲたがる、左派だからサゲたがるそんな自覚をもって報道やソーシャルメディアに接することが今こそ必要でしょう。