WIRED.jp が誤報:原発が全停止した日本、しかし炭素排出量は増加せず?
WIRED はかつておしゃれなオピニオンリーダーの雑誌だったのですが、WIRED.jp はもう粗製濫造のネットニュースサイトと変わりないようです。
「原発が全停止した日本、しかし炭素排出量は増加せず:米政府の調査結果」という記事を載せたのですが、この見出しが間違っています。
本文では、
石油使用量は増加しているが、予想されたほどではない。石炭の使用量の増加は8パーセント、液化天然ガスは9パーセントだ。これらによって、原発事故前に始まっていた「石油使用量の拡大」は減速された
これらすべてが最終的に示すのは、炭素排出量にそれほどの変化はなく、日本の排出量が最大となった2007年を超えてはいないということだ。
と、書いているように、原発事故後炭素排出量は増えているがそれほどでもなく、2007年を超えてはいないというのが記事の趣旨です。
英語の元記事と日本語記事のタイトルを見比べると伝えていることが全く違うと分かります。
日本語
原発が全停止した日本、しかし炭素排出量は増加せず:米政府の調査結果
日本は福島原発事故以後、2年近くにわたってすべての原発を稼働停止させたが、節電などの効果により炭素排出量は増加しなかった、という調査結果を米国エネルギー省が発表した。
英語
NO NUKES --
Japan's lurch away from nuclear hasn't caused fossil fuels to boom
The emergency shutdown of nuclear reactors hasn't been an emissions disaster.
英語の私訳
反原発
日本の原子力(発電)を緊急停止も、化石燃料消費は急騰せず
原子炉の緊急停止は(炭素)排出の災害を引き起こさなかった
つまり、WIRED.jpが 記事を捏造しているわけです。チャートを見ても、2010年比で2015年の化石燃料消費は増えています。
グローバルで高いブランドを持つニュースサイトの日本語版記事はつい信じてしまうものですが、こういう粗悪な捏造があると注意して読むべきです。