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京浜東北線架線切れ事故で分かった、神宮外苑こそ、巨大スタジアム適地

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作曲家で指揮者の伊東乾氏が、新国立競技場の立地を「苦笑」するという記事を書かれていました。

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/44382

ドイツ人から完全に見下された新国立競技場 ヒトラーが建設させたスタジアムとの差は歴然 | JBpress(日本ビジネスプレス) via kwout

さて、ただ単に報道されていないだけかもしれず、また私が不勉強なだけかもしれませんが、そんな大人数をどうやって、千駄ヶ谷やら代々木やら近辺でさばくつもりなのか、人の動線といった話がトンと出てこず、不思議に思っています。

伊東乾氏は、ドイツ、ベルリンのオリンピア・スタディオンの最寄り駅が8本ものホームが人を分散させながら運べると礼賛し、

東京都の土地に国が建てる新国立競技場は結構なのですが、JRなり営団なり、そこに至る交通の足やら、人々を安全にスタジアムに導く動線やらは、いったいどこにあるのだろう?

と心配されています。ただそれは、2004年3月末に消えて東京メトロに変わって10年以上経つのに「営団」という古い用語がでてしまう、伊東氏の素人考え故の杞憂です。むしろ、1系統しか鉄道がなく後は道路交通に頼るしか無いドイツの競技場と比べて神宮外苑は多様な鉄道が通り、多重化されて容量も十分多い場所です。神宮外苑でスタジアム周辺の空き地が少ないなど弱点はありますが、JR中央線各停の、千駄ヶ谷と信濃町2つの駅が使えて、都営地下鉄大江戸線の国立競技場前がほぼ真下にあり、徒歩20分圏に東京メトロ銀座線外苑前と青山一丁目、半蔵門線青山一丁目、副都心線の北参道、そしてJR山手線代々木駅と7つの駅が利用可能です。

ホームの面数で言うと、7駅16面が使えます。8本のホームがあって多様な方面に列車が出せるというベルリンのスタジアムと較べて輸送力では遜色ないというよりもむしろ凌駕していると考えるべきです。

京浜東北線架線事故で分かった、神宮外苑の立地の素晴らしさ

さて、スタジアムの交通で需要なのは容量が最初にきますが、多様性も大事です。8万とか10万とかの人が集まる場所でその過半ををさばくJRの京浜東北線、東海道線、横須賀線が同時にストップして横浜・桜木町の交通は大いに混乱しました。比較的近くに東急東横線と地下鉄、京急があってもその容量オーバーは深刻でした。

それがもし、ベルリンのスタジアムのように一つの鉄道路線に頼る場所で鉄道が止まったらどうなるか?今回の横浜以上の混乱は必至でしょう。

一方神宮外苑は、JR中央線と山手線、東京メトロ銀座線、半蔵門線、副都心線、都営地下鉄大江戸線と6つの系統が独立して利用できます。そして、実は、新宿駅へも徒歩25分か30分程度で歩けます。ただひとつの路線に頼り、ブランデンブルク門から10km離れた郊外のベルリンのスタジアムと比べると日本最大の繁華街新宿を後背地として持つ神宮外苑の交通の能力の高さは比較にならないといえるでしょう。

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