デフレ脱却の特効薬が消費税増税である理由
消費税増税とデフレ脱却について世間の多くの人はまるっきり逆の理解をしています。「デフレ脱却してないのに消費税を上げるべきでない」そんな論説をよく見ますが、大間違いです。「消費税を上げると、物価が上がる=デフレが解消される」
が過去の日本で1989年4月の消費税導入時と1997年4月、消費税率を3%から5%に上げた時に起こった事実です。総務省の消費者物価指数データからグラフ化しました。 (ここで言うデフレは持続的な物価下落という教科書通りの意味で使い、不況の意味は含みません)
一橋大学経済研究所准教授 小黒一正氏や池田信夫氏の推論の通り、竹下内閣での消費税導入時も物価上昇が心配され、実際、物価が上がりました。例えば、100円で売っていた自販機飲料を105円には上げられないと110円に上がり、97年に120円へ上がったようにです。
より長期間での物価上昇傾向が分かるを見ても1989年と1997年の物価上昇が分かるでしょう。
ファイル:JAPANcoreCPI.png - Wikipedia via kwout
1989年の消費税導入からしばらくはバブル景気が続きました。消費税でデフレ(物価下落)とかいう人達はバブル崩壊で何が起きたか忘れているのではないでしょうか?土地の値段は上がり続けるという神話が崩壊し、土地を担保にした金融の仕組みが壊れ、世界経済のグローバル化が進み、100円ショップのような安くてそこそこの品質の商品が増え、広く使われ始めました。スーパーやコンビニのプライベートブランドの浸透もより安くて質のいいモノをブランドイメージより重視するデフレ的消費者行動の現れでしょう。
池田信夫氏はデフレ脱却に意味は無いと主張されています。しかし、物価が将来上がるか下がるかでは消費者の行動に大いに差が出る大きな問題だと私は思います。たばこ増税の前のまとめ買いのように、将来値上がりするなら多めに買って在庫を持とうと多くの人は考えます。この在庫を多めに持つとか前倒しで買うとかいう行動は景気を大きく左右します。
デフレが不景気と同義語として誤用されるのも自然なことでしょう。
今後の日本の政策として消費税は5%から、8%へ、そして10%へと上昇が予定されています。
これらの消費税増税はデフレを止める2回のカンフル剤として効くことでしょう。是非、安倍内閣には8%への増税でのインフレ効果を成果として早めに更にその上の消費税増税の筋道を引いてくれることを期待しています。
グローバル化の流れはますます進み、より安いものが日本に入るデフレ傾向はまだまだあと10年と言わず20年以上続くことでしょう。そのデフレ的な流れを緩和し、財政を破綻させないためにも消費税増税は日本に必要な施策でしょう。