オルタナティブ・ブログ > データイズム >

記録するジャーナリズムから、測って確かめるデータイズムへ

Panasonicに告ぐ、今からでも遅くないから、eneloopへ帰れ

»

ブランドは企業の重要な財産とされますが、むしろ、ブランドにロイヤリティを持つ顧客の財産かもしれません。そう、充電式乾電池エネループのパッケージデザイン変更への非難の声で実感しました。

ブランドとしてのeneloopは維持されているのですが、この外観デザインでは死を宣告されたも同然と、巷では嘆きの声が沸き上がっています。

http://panasonic.net/energy/eneloop/jp/neweneloop/
Snap2392

一番の問題は、eneloopというブランドで認知し、これは繰り返し使える特別な電池と愛用してきたのに、「金のパナソニック(金パナ)」に代表される、通常のという強烈なブランドに、「上書き」されてしまったかのような残念な点です。

Snap2391

充電できる電池が、通常の使い切り式の電池と間違われるという心配もあります。色が違うから大丈夫と思ったのでしょうが、大きな間違いです。新しいデザインではエネループの価値が表現できていない、そう断言できます。

例えるなら、キッコーマンの醤油ブランドが、ケチャップのデルモンテに統合されてロゴが差し替わるようなものです。この赤いデルモンテというブランドが貼られたこのボトルは、ケチャップなのか醤油なんか、もう脳が混乱するわけです。今回のデザイン変更は、それくらい大きな間違いだと思います。
Soysource

これに似たマーケティング上の失敗というと、北米で起きた、コカ・コーラのニュー・コーク騒動が思い出されます。比較的悪くないモデルチェンジという評判は、「元の、本物のコカ・コーラを返せ」という一部の愛好家の声に影響されて、日増しに大きくなり、ついには、元の味に戻すことになりました。

失敗も、それを正しく受け止め反省し、善後策を取ればリカバリは可能と思います。

だから、パナソニックも顧客の声を受け止めて、元のeneloopと大きく書くデザインを尊重したデザインに再変更すべきだと真剣に私は思います。例えそれがどれだけの費用がかかろうともです。

本ブログエントリーのタイトルは二・二六事件での「反乱軍」下士官への投降を呼びかけるビラを元にしています。テロにより、高橋是清をはじめとする、死者を多数出した事件と同じに扱うのは不謹慎かもしれません。しかし、私は本当に、今からでも遅くないからパッケージデザインのベースを戻すべきだと思います。もう、新デザインのPanasonicベースで製造した在庫があるかもしれませんが、それに対して希望者にはシールを配布するくらいの対応をした方がいいと思います。

蓄電池技術は、今後のメカトロニクスや、スマートグリッドのキーテクノロジーとしてますます重要になります。そこで、企業ブランドのPanasonicに変えようという判断が働いたとかそういう事情も推察できるのですが、コアなファンを切り捨てる痛手はそれ以上に大きい、そう確信しています。

 

Comment(0)