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パンダは、なぜ上野動物園だけが話題になるのか?その理由

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上野動物園のジャイアントパンダの赤ちゃんが生まれそして幼くして亡くなったことが話題です。非常に残念に私も思います。

その一方で、和歌山県、南紀白浜のパンダはこの10年で12頭誕生し、11頭元気に育っていると聞きます。関西ローカルではニュースになっているとも聞きますが、方や号外が出るほどその死がニュースになった上野の赤ちゃんパンダと、さして話題にならない南紀白浜のパンダ、その差はどこで生じたのでしょうか?

マーケティング理論でその説明は簡単にできます。上野のパンダが最初に、そして非常に大きな記憶として日本国民に刷り込まれたから、です。そして、それは1番でなければなりません。2番めに話題になった場所では二番煎じで人々の記憶に残りにくいのです。

もちろん、東京という人口の大きな首都でマスコミも多数あって、全国にニュースが波及しやすいという要因もあるでしょう。しかし、そういう場所的な問題を差し置いて、日本に最初にやってきた上野動物園のパンダの印象は非常に深いものでした。

1972年、日中国交正常化を記念して日本に贈られたカンカン、ランランの二頭のパンダは、その可愛さが戦後日本の平和と反映の象徴と結びついて、社会現象にまでなりました。日本国民の脳裏に、「パンダ=上野動物園」という結びつきが深く刻まれているのです。
そして、その結びつきがあるために、南紀白浜のパンダは人々の心には入りにくくなっています。パンダで想起する場所が上野動物園と強烈にもう入っていて、そこを押しのけるのが困難なのです。

マーケティングは、人々の知覚との勝負で、あるキーワードに対して入れるもの(≒ブランド)は一つしかありません。自動車を例に取ると、高級はベンツ、走りのいい高級車はBMWとかいうようなものです。そして、ハイブリッド車はトヨタしか人々の心に入っていません。二番手のホンダ インサイトは現行の車種もトヨタプリウスに惨敗して後継車が無いと報道されています。
こういったマーケティングのブランディングやポジショニングの法則を知ると、ニュースの背景がより深く理解できることでしょう。マスコミが悪いとかいう前に物事には背景や理由があるそういう前提で調べてみるとよりニュースが楽しめるようになると思います。

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