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Facebook成長率が鈍化か? ソーシャルプラグインの背景にあるプライバシー問題

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Facebookの成長がついに鈍化しはじめたのでは? - ブログメディア,Search Engine Landでそんな記事が投稿され話題になっている。

Has Facebook’s Active User Growth Dropped 25% to 50%? (Search Engine Land)

この記事での根拠は,4月21日に開催され大きな話題を呼んだF8 Conferenceでの発表値 「Facebookはここ3週間で1000万人超のアクティブユーザーを増やした」という発言に基づいている。そして記事内では,その事実を確認すべく,Facebookへの直接問い合わせや過去の発言検証が行われている。

確かにこの数値に基づくと月換算で約1300万人の増加となる。信じられないような増加人数だが,実は過去の公表値と比較すると明らかな減速傾向がうかがえるのだ。


■ Facebookのアクティブユーザー数増加のペースは落ちつつあるのか?

Facebookは定期的ににアクティブユーザー数(月間ユニーク訪問者数)を発表しており,過去の数値を振り返ると次のようになる。

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  • 2008/04/26 1.0億人
  • 2009/01/07 1.5億人 (月 1,250万人増)
  • 2009/04/08 2.0億人 (月 1,670万人増)
  • 2009/07/15 2.5億人 (月 1,670万人増)
  • 2009/09/15 3.0億人 (月 2,500万人増)
  • 2009/12/01 3.5億人 (月 2,000万人増)
  • 2010/02/04 4.0億人 (月 2,500万人増)

Facebookではアクティブユーザー5000万人の区切りごとに数値を発表してきた経緯がある。そしてこれを見ると直近で月間2,500万人増だったペースが月間1300万人と約半減した可能性があるということだ。

確かに今までは達成とほぼ同時に新しい統計値が発表(前回は,Facebook満6才の誕生日でまもなく4億人と発表があり,実際にその週にデータが更新されている)されてきた。だとするといまだに次の4.5億人が発表されていない点も,この成長鈍化を裏づけているのかも知れない。


■ Facebookの野心的なアプローチ,ソーシャル・プラグインを巡る業界の動き
 
Facebookは,F8 Conferenceでソーシャルプラグインを発表して以来,世界中で大変な反響が巻き起こった。結果としてアクセスが増加したとのサイト報告も多く,3週間で10万サイト(参考記事)がこのプラグインを組み込んでいる。Facebook Connectが1.5年かけて25万サイトだったことを考えると,新機能はそれを遥かに上回るスピードで普及していることがわかる。

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この試みは,Facebookが将来的に世界中の個人情報とソーシャルグラフを一手に独占することを目的とした極めて野心的なアプローチだ。仮にそれが実現すると,広告やコマース,課金,検索まで,すべてFacebookの影響下におかれることになり,GoogleやAppleをも凌ぐ次世代ITの覇者となる可能性が高い。

過去には "Data Portability Working Group" という,まさにソーシャルネットワーキングによる個人情報やソーシャルグラフ独占防止を目的とした組織(参考記事)があり,オープン化の役目を果たそうとしていた。参加していた企業は,Facebook,Googleをはじめ,Yahoo, Twitter, eBay, Microsoft, Myspaceなどそうそうたる顔ぶれだ。

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【データ・ポータビリティを巡る激しい戦い,その年表】

しかしながら,突然MySpaceが2008年5月9日にData Availabilityを発表したのを皮切りに,翌日5月10日にFacebookがFacebook Connectを,さらに5月13日にGoogleがFriend Connectを発表するにいたり,この志高い組織は完全に形骸化してしまった経緯がある。

F8以降のFacebookソーシャルプラグイン快進撃はすさまじい。従来よりFacebookに対抗してきたGoogleやTwitterのみならず,その他多くのIT系企業が再度タッグを組み,Facebook独占の阻止を図る動きがおきる可能性が高いと筆者は予想している。そしてその大義名分として,利用者のプライバシー問題が前面にクローズアップされるのではないだろうか。
 
 
■ 利用者に広がる,Facebookのプライバシー問題

また日本ではあまり報道されていないが,Facebookのプライバシー問題は過去にないほど活発に論議されており,一部の上院議員(参考記事)まで動き始めている。特に問題視されているのは,Facebookプラグインを利用するサードパーティまでもがFacebookユーザーの個人情報やソーシャルグラフを入手できる点だ。

プライバシー問題に敏感な一部のFacebookユーザーはこれに強い反発を示しており,"WE'RE QUITTING FACEBOOK" なるサイトまで出現した。またGoogleでもFacebookアカウントを削除する方法("how do i delete my facebook account" 等)を探す検索ワードも急増しはじめた。これらが成長鈍化の一つの要因になっている可能性はありそうだ。

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"how do i delete my facebook account" 検索数推移


今のところプライバシー問題がFacebookの成長に与える影響は限定的のようだが,利用者の反発に呼応するように,「オープンなFacebook」という目標をかかげたDiasporaにマイクロファンドが殺到(参考記事)するなど,新チャレンジャーにチャンスを与えている点も見逃せない。

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【Diasporaを立ち上げたニューヨーク大学生の4人】

そして最大のライバルTwitterは着実にFacebook対抗策を講じている。例えば@anywhereとTwannotation(参考記事)を利用すれば,Facebookプラグイン(例えばLikeボタン)に近いものを外部サイトが実装することが可能となる。Twitterは当初よりオープンなコンセプトのため,現時点ではプライバシー問題を抱えていない。(そもそもFacebookがTwitterに脅威を感じて,クローズからオープンに場を変化させはじめたことがプライバシー問題の原点となっている) この点がFacebookに対する強みになりつつある。

さらにFacebook Creditsを巡るSAPとの争いが深刻化(参考記事)すれば,延べ2億人のアクティブユーザーを持つZynga独立などにより,ユーザー離れを誘発しかねない。

日本では快調そのものとも報じられているFacebookだが,その野心の大きさに呼応するように,多様な問題を内包しながら走り続けている。そのため,今までのような急成長が鈍化する要因は日々増えてきているのは確かなようだ。(台風の目はFacebookに近づきつつあるAppleかも)

 
 
【参考記事】

TwitterとFacebook,どちらが世界最大のソーシャル・ネットワークになるのか? (4/19) 
プラットフォームとデベロッパーの仁義なき戦い,Facebookと衝突したZynga,4つのシナリオ (5/12) 

 

【Facebook関連】
Zynga推定売上は540億円!プラットフォームであるFacebook売上規模とほぼ同等か? (5/1) 
TwitterとFacebook,自社公表された最新統計値のまとめ (4/16) 
Facebook最新統計発表。モバイルユーザー1億人超,企業ページ150万件超と急増中 (2/12) 


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最新の筆者著書です。 『Twitterマーケティング 消費者との絆が深まるつぶやきのルール』

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