オルタナティブ・ブログ > In the looop >

海外ソーシャルメディア事例を徹底的に調査し,マーケティング活用の秘訣を提案するブログ

話題の「ツイ割」,ザクラ社長が描くフリーミアム・モデルを直撃インタビュー

»

飲食店を中心に,ツイッターユーザーに対して特別割引をする店舗が急増してきた。

中でも話題になったのはフォロー数に応じた値引きだ。例えば,大井町のお寿司屋でフォロワー割引を実施した「すし処さいしょ」(SushiSaisho)では,2月4日に同割引を行ったところ,アルファ・ブロガーや業界人が押し寄せ,ネット上でかなりのクチコミが伝播した。

フォロワーの数だけ割引!「すし処 さいしょ」のレポート続々 (はてなブックマークニュース)
 
 
ちなみにGoogleで「すし処さいしょ」の割引日から今日までのブログ件数をカウントすると35件,それ以外にツイッターやUstream等にも数多く配信されている。特にフォロワー数に応じた割引では強力なインフルエンサーが集まるため,非常に高い広告効果が得られたようだ。


そして当記事の主役は,このようなツイッター割引を行なう店舗を集約したサービス 「ツイ割.jp」 (以降,ツイ割と略)だ。このツイ割は,#twiwari というハッシュタグのついたツイートを集約したサイトで,店舗が登録した情報(店舗名,電話番号,住所,地図,URL)もあわせて閲覧できるのがポイントだ。

Twiwari

ツイ割を運営するのは 株式会社ザクラ(名刺のロゴは,漢字の「桜」に濁点!),その鈴木社長にインタビューの機会をいただき,ツイ割の現状,今後の機能拡張やビジネスモデルなどについてお伺いした。
 
 
■ ツイ割の現状は

まずツイ割が開始されたのは2010年2月だが,一躍有名になったのは3月6日に「めざましテレビ」で放映されたからだそうだ。

テレビ放映前は,登録店舗数で15-20件/日程度だったが,放映当日だけで400件ほど登録があった。その後は,30-40件/日と増加していき,現在は1500超の店舗がこのツイ割に登録し,なんらかのツイッター割引を行なっている。

業種で言うとやはり飲食店が7割以上を占めているとのことだが,実際にサイトを見てみると,不動産屋,パソコン保守サービス,レンタカー,ホテルなどが並んでおり,かなり多くの業種に広がりつつある様が見て取れる。

また現在のページビューは日に3000-5000PV程度,セッションあたり平均3-4PVで順調に成長しているとのこと。
 
 
■ 続々とツイ割の機能拡張を

同社では,積極的にツイ割の機能拡張を計画している。例えば,ツイッターユーザーにとって重要な「無線LAN対応」「電源の提供」などきめ細かい店舗情報を提供し,それを検索できるようにすること。iPhoneアプリを提供すること。ツイ割から予約をできるようにすることなど。

筆者が最も興味を持ったのは,携帯電話でスタンプ・ラリーができる同社のASPサービス「Stasta」との連係だ。これが実現すると,各店舗単独ないし複数店舗でのスタンプラリーが簡単に行なえるようになり,Forsquareのバッチ機能と類似したことができるようになる。

ただしFoursquareやGowallaは位置情報認識によるチェックインだけだが,Stastaの場合はリアルな購買認証ができる点がポイントだ。認証方法はフェリカ端末による携帯読み取りが標準だが,フェリカ端末がない店舗では,配布されたワンタイムQRコードをユーザーが携帯で読み取ることで代用できる。

また各種マーケティング情報(顧客動向や来店頻度等)提供,ユーザーへの一斉告知,友人紹介機能など,リアルスタンプにはない機能も付与されている。店頭での購買行動や購買金額を捉えられると,将来的には成果報酬型のアフィリエイトサービスも可能となる点も興味深い。

Stasta_twitter

 
■ フリーミアムなビジネスモデルを目指して

最後にビジネスモデルについてヒアリングした。鈴木社長のこだわりは,利用者はもちろんのことだが,店舗にも基本サービスは無料で提供をし続けること。やはりフリーミアム・モデルを意識したビジネスモデル構想を描いている。

すでに実験もはじまっている。前述Stastaを利用した「スタンプラリー」(ツイ割ラリー)だ。五反田の6店舗が参加しているこのラリーでは,各店舗がそれぞれ特別割引(20-40%引き)になっているのはもちろんのこと,全6店舗で食事した利用者にAmazonギフトカードやiPadが懸賞として用意されている。

Twiwari2

このような購買行動に結びついた付加サービスはオプション料金にしやすいだろう。ぐるなびや食べログと異なり,飲食店以外にも容易にビジネス展開できる点もポイントだ。

またさらに詳細な店舗情報をブログのように登録できる機能も検討中とのこと。今後付加されていく店舗向けサービスが有料オプションとなり,全体の5%-10%から課金できるように形になれば,健全なフリーミアム・モデルとして大いに広がりを見せるのではないだろうか。

前日ブログで紹介したStockTwitsという株式投資コミュニティなども典型だが,このようにツイッターAPIをベースに開発されたコミュニティは,システム構築や運用コストが極めて安価なため,損益分岐点を大胆に低く設定できる点も見逃せない。ツイッターのようなフリーミアムなプラットフォーム上では,フリーミアムなサービスを実現しやすい(逆に言うとフリーミアムなサービスでないと生き残れない)ということだ。

蛇足になるが,店舗にとってこのサービスが無料であることは実にありがたいことだ。そのためにウッフィー(貢献に基づく信頼関係)が貯まっているのだろう。「今まではStastaの営業で電話しても応対していただけなかった店舗さんが,「ツイ割.jpのザクラ」というだけで快くお話していただける。それがとても嬉しい」 と鈴木社長が語られていたのは印象的だった。
 
 
【後記】
今回は,ツイッター上に知り合ったユニークビジョン白土`社長からのご紹介で,2010年3月30日に当社でお話させていただいた内容に基づく記事となっています。

Photo
【ザクラ鈴木社長(左)とユニークビジョン白土`社長(右)】

ザクラ鈴木社長とユニークビジョン白土`社長は,フューチャーシステム・コンサルティング(現フューチャー・アーキテクト)時代の同僚です。ユニークビジョンさんも,ザクラさんに負けじと,ツイッターをベースとして求人情報サービス「リクルッター」を立ち上げられました。お2人とも穏やかな人柄と凄腕プロフェッショナルをお持ちの素晴らしい社長さんでした。

・ ザクラ鈴木社長 kenjizakura@twitter
・ ユニークビジョン白土`社長 shiratoy@twitter



この記事をツイートする ⇒ この記事をつぶやく   このブログを購読する ⇒ このブログを購読する



 
【企業ツイッター,国内外の成功事例を総まとめシリーズ】

・ 第一回 「企業ツイッター,国内外の活用事例を総まとめ」 (3/24)   
・ 第二回 「企業ツイッター,国内外の活用事例を総まとめ - 対話エンゲージメント13事例」 (3/26)   
・ 第三回 「企業ツイッター,国内外の活用事例を総まとめ - 販促プロモーション前編 11事例」 (4/2)   
・ 第四回 「企業ツイッター,国内外の活用事例を総まとめ - 販促プロモーション後編 6事例」 (4/3)   
・ 第五回 「企業ツイッター,国内外の活用事例を総まとめ - 潜在顧客サービス 9事例」 (4/8)   
・ 第六回 「企業ツイッター,国内外の活用事例を総まとめ - コラボーレーション 7事例」 (4/9)   
  

【関連記事】

世界のマーケッターが選ぶ企業ツイッター活用術 ~ 9つの超定番 (3/1)   
【書評】「ツイッターノミクス」,「ビジネス・ツイッター」 (3/15)   
ツイッター利用が活発な航空業界における炎上事例と未然防止事例 (3/16)    

斉藤Twitter。ご連絡などお気軽にどうぞ。 http://twitter.com/toru_saito
ループス社Twitterアカウントはこちらです。 http://twitter.com/LooopsCom
最新の筆者著書です。 『Twitterマーケティング 消費者との絆が深まるつぶやきのルール』


Comment(0)