On Vox: 100Gbpsが射程に入った光通信で、IPは重荷になっているのか
今週は、サンディエゴで開催されている「OFCNFOEC」と言う光ファイバー通信関連の会議に来ています。
基調講演では、コピーライトの改革活動で有名なLawrence Lessig教授(スタンフォード・ロースクール)が登場して、興味深い話をしました。とはいえ、この会議の中心は光通信です。
米国の状況ですが、2000年から供給過多といわれていた光ファイバー網(主に幹線網)は、2007年にリバウンド(供給不足)し、以後、通信キャパシティーの逼迫が続いています。
今回の会議でも、光通信網の伝送量拡大が大きなテーマです。長距離幹線網では、今年から来年にかけて10Gbpsから40Gbpsへの移行に拍車が掛かる一方、100Gbpsの到来も間近に感じられるようになってきました。ベライゾン・コミュニケーションズの関係者は40Gbpsを飛び越えて、一気に 100Gbpsへとジャンプすることを狙っています。
一方、テクニカル・コンファレンスでは、いよいよ1Tbs(1,000Gbps)伝送に関する議論が本格化しています。関係者の話によれば、早ければ2015年前後に長距離幹線網は1Tbps時代に突入しそうです。
こうして物理的なネットワークは光ファイバーや光スイッチなどによってドンドン高速化が進んでゆきますが、その上に載っているIP網はどうでしょうか。つまりルータの高速化やその経路制御方法などが、どうも重荷になっているように見えてきます。
インターネット(IP)という通信手段は、通信網を簡素化することで一気に普及してきました。その担い手はルータだったわけですが、逆に、すべての通信がIPに流れ込もうとする現在、「IPという簡素化が足かせになっている」ようにも見えてきます。
蛇足ですが、上位レイヤーで大騒ぎになっているクラウド・コンピューティングやSaaS/PaaSのトピックはまったく話題になりません。綺麗さっぱり忘れられています。まあ、そうしたアプリケーション系パケットは、比重として少ないので設備屋としては考慮すべき段階ではないと言うことでしょう。光通信にとって、クラウドは遠い異国の出来事のようです。
小池良次(www.ryojikoike.com)
Originally posted on ryojikoike.vox.com