On Vox: クラウドを深掘りする -Structure 09会議-
昨日取材にいった「Structure09」会議の様子を簡単にまとめます。
主催はGIGAOMと言うメディアで、今回はクラウドにテーマを絞っての開催でした。
<スケーラビリティー>
クラウド・コンピューティングの大きな課題はスケーラビリティー。それを支えるのがDHTやBigTableといった分散データ・ストレージ技術。今回の会議では、最初にこの分野のパネルディスカッションがあって、面白かった。技術者の多くは、DHT(たとえばDynamoとか)は改善の余地が多いとの意見。すべてにフィットする解決策がなく、色々と試行錯誤しているのが興味深い。
<SaaS>
ウェブ・アプリケーションはいまや技術よりも、マネタイズ・モデルが重要なようだ。どこまでユーザー単価を落とせるか、それをどうやって販売するか、大規模化にどこまで対応するかなどが大きな課題。
<大手が参入をいそぐ>
今回はSun Microsystems、Cisco Systems、AMDなどがワークショップを開催していた。これらは自社製品のPRと言うより、一般的な話。大手はクラウド戦略で出遅れているので、なんとか追いつきたいと言う姿勢がにじんでいる。
<お疲れのマーク・ベニオフ会長>
アマゾン、SAP、Sun、Facebookなど色々なエグゼクティブが姿を見せた。久しぶりにSalesforce.com社のマーク・ベニオフ会長の話も聴けた。基調講演ではなく対談に予定が変更されたこと、顔に汗をかいていたこと、話がよどんでいたことなどからたぶん、風邪を引いて高熱がある様子。マイクロソフトのクラウド・プラットフォーム「Azure」を「Zune」と呼び間違える(内容は間違っていないが)など、波乱の話っぷりだった。お大事に。
<クラウドと通信網>
通信ワッチャーの僕として一番面白かったのは「Better Broadband: Enabling the Cloud Era」というセッション。Aspera SoftのMichelle Munsonさん(Pres.、美人&聡明)が、IPプロトコルの限界を鋭く指摘したのには同感。僕も以前から感じていたことを、すっぱり話してくれた。
Juniper社のDavid Yen氏(EVP)は「データフローと言っても、クラウドには4種類(機器内、データセンター内、データセンター間、データセンターとユーザー間)がある。それぞれがすべて最適化しなければ、スピードは上がらない」と相変わらず切れのよい意見を並べてくれる。そうなんだよね。みんな、この辺をごちゃまぜにしている。
ただ、Contetns Base Distribution(←アプリケーションなどをして配信を最適化する技術)の可能性については、みなあまり熱心でなかった。まだまだ、商売になるレベルではないからだろう。
小池良次(www.ryojikoike.com)
Originally posted on ryojikoike.vox.com