On Vox: 冷え込み始めた米放送通信業界
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今週あたりから、大手CATVや通信会社が決算発表を始めるが、どうやら相当厳しい内容になりそうだ。
すでに紹介したが、米携帯業界3位のスプリント・ネクステルは加入者純減に陥り、相当の経営合理化(店舗縮小、人員削減)を余儀なくされている。
それに先立ち、CATV最大手のコムキャスト社は「2008年加入者減少」を予想している。理由は米国の景気減速、競争の激化にあるという。たぶん、政府が進めるケーブル・テレビ業界の開放政策も、こうした暗い将来予想を後押ししているのだろう。
一方、電話業界トップのAT&Tも“蚊帳の外”ではない。サブプライム問題が直撃したアメリカ南部を中心に、通信料金未払いによる契約解除が増えている。また、もうすぐ2月を迎えようとしているにも関わらず、ベライゾン・ワイヤレス(携帯業界2位)もAT&Tモビリティー(同1位)も、ポスト・クリスマス商戦のTVコマーシャルを続けている。2007年の年末商戦が不振だった証拠だ。
先週、我が家にも、ベライゾン・ワイヤレスの営業から電話が入ってきた。僕のところは優良顧客だから“ベストカスタマーとして割引する”ので“今年は解約しないで!”と言う。鼻っ柱の強いベライゾンが「こんな電話をするほど状況は厳しくなっているのか~」と、こちらの方がびっくりした。こうしてみると、米国の放送通信業界は、景気減速を前に続々“守りの体制”に移っている。
アメリカでは「米大統領選挙の年には不況はない」とよく言われる。しかし、2008年はこの慣例を破る波乱の年になりそうだ。
小池良次(www.ryojikoike.com)
Originally posted on ryojikoike.vox.com
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