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2005 スーパーコム

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 先ほど、スーパーコムの取材を終わってシカゴから戻ってきた。

kaijyou 通信業界に詳しくない方は「スーパーコム」と言っても分からないだろう。これは、通信事業者団体(USTA)、通信機器業界(TIA)、技術者業界(IEC)の業界3団体が、共催で行う米国最大の通信業界展示会・会議なので「スーパー(テレ)コム」と言うわけだ。

(会場風景)

 とはいえ、携帯業界などは入っておらず、米通信業界を牛耳っているベル系電話会社が主役のショーだと思ってもらえばよい。

 今年のスーパーコムも、VoIP、FTTH、WiMAX、IMS(IP base Multimedia Sub-System)など色々な話題がでた。

 また、基調講演では、今年新しくFCC(連邦通信委員会)の委員長になったケビン・マーチン氏も登場した。同委員長は、4月上旬のNCTA(CATV事業者年次総会)では、たった15分ほど、同下旬に開催されたNAB(全米放送事業者年次総会)では、前日になって講演をキャンセルしている。

 なかなか「やんちゃ」な委員長だ。

 その彼が、スーパーコムでは、前日から会場に現れ、主催団体の幹部と会食などをしている。しかも、シスコシステムズのジョン・チェンバー会長に先立って、1時間ほどの対談をこなすという。取材していて「なぜ、こんなに猫をかぶっているのだろう」と僕は密かに首をかしげていた。

 その謎は、対談の初めでスラリと解けた。マーチン委員長は、ブロードバンド普及には通信業界の協力がなくてはならないと冒頭から熱く主張したからだ。

 ブッシュ大統領は、ハイテク音痴で知られる。特に、通信業界にはまったく関心がない。ところが、大統領選挙の最中「2007年までに全米にブロードバンドを普及させる」と公約した。これは、事前にそうした政策研究や進言団体があったわけではない。まさに「藪から棒」の公約だった。

 ブッシュ氏が選挙に勝った今、この公約を現実に移すのは、連邦通信委員会つまり“ケビン・マーチン委員長”の肩に掛かっている。厳しい忠誠心を求めることで有名なブッシュ大統領だけに、この課題を解決できなければ、マーチン氏の将来にも暗雲がたれ込めることになる。

 そこでベル系を筆頭に大手電話会社のトップが顔をそろえるスーパーコムに乗り込んで、友好関係を密にしようとしたわけだ。なにせ、大手が光ファイバーやDSLに巨大な投資をしなければ2007年の公約はおぼつかないわけだから。

 そのほか、今年のスーパーコムは色々な話があった。来週の映像新聞に、簡単な速報を入れる予定だ。いくつかの話を色々な媒体に載せる準備を進めている。何をどこに書いたかは、また、このブログで紹介してゆきたい。

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